エコノミスト三国志―戦後経済を創った男たち (文春文庫)
この本で、下村治さんを知り、2000年の、 加藤政局もあり、一気に、戦後の日本社会体制に、 興味が行った。 貧困にあえぐ、敗戦下の日本を何とかしたいと言う思いが、経済学に昇華した、高度経済成長期の日本は、 そう表現出来るのでは?と思った。
冷戦下で、アメリカのもと、自由主義陣営に、経済的に寄与するという日本の立場は、冷戦が終わった、今も続いているように思う、では、自由主義一色になった世界に、何が必要なのか? 今の政府が口にする、IT革命なる、言葉には、 その答えが見えてこない、 この本の、第3章に書かれている、下村の、変貌の意味を、今こそ考えるべきだと思った。
貧しかった国が、貧しくなくなったときに、取るべき 民主的な態度とは?そのことを真剣に考えてこそ、 次の時代の展望が見えてくるように思う。
誠心誠意、嘘をつく 自民党を生んだ男・三木武吉
戦後の政界は55年体制の歴史と言えるかと思います。三木武吉という人は、その中心であり続けた「自由民主党を創った人」と言っていいのではないでしょうか。彼は保守合同を成し遂げた後亡くなってしまいました。本書は、彼の生い立ちから亡くなるまでの経歴を、多彩な人間関係や事件、エピソードとともに構成されています。
あまり知られない人物かも知れませんが、「現代にはいそうにもない人だ、昔はこういう人がいたのだ」と思わせるほどの興味深い記述も多々あります。個人的には「早稲田学生時代に、山県有朋邸の前で連日藩閥政治の非難を話題に演説の練習をした」「対米開戦前に東条英機にそれを諫めたこと。聞き入れられないと、板垣征四郎に忠告しに南京まで行った」ことなどに驚きました。容易に想像ができますが、命がけの行為であったはずです。一般的には「策士・謀略の将」とのイメージが大きいでしょう。私もそうだったのですが、この一冊で印象が大きく変わりました。
所々に作者の主観も混じっていますが、それでも三木武吉という人物を知るための良い手がかりとなると思います。ページ数も手ごろでテンポ良く一気に読むことができました。手にとってみてはいかがでしょうか。
人生後半戦のポートフォリオ「時間貧乏」からの脱出 (文春新書)
副題が「時間貧乏からの脱出」とある様に、良い生活を求めて頑張る事でかえって生活を失いかねないことに問題点を見いだしています。いかに時間を大切にするか、という事に関連した本は沢山ありますが、時間をお金に換算した上でバランスシートでどの様な状態にあるのかを一目で分からせる素晴らしさがあります。
時間を売ってお金を稼ぎ、そのお金でモノを買う。したがって、時間=お金=モノであり、お金やモノに重きを置く人生は、時間貧乏であると言ってます。
なぜ時間が大切なのかというと、時間が無形資産であり、これを育てることは自分の価値を高めるからです。つまり将来はそれが資産となるからです。でも育てるには時間が掛かる。30代に蒔いても収穫は40代か50代。だからこそ、気付いた時点から計画を立て、目標に向かって進むことが大切と説いています。
人生70年あるいは80年とすれば私はまだ前半ですが、早めに読んでほんとに得たものが大きかったと思う一冊です。万人にお勧めです。
≪時間戦略-自分時間を得るための方策≫
1モノは出来るだけ持たない
2「ながら(同時進行)」のすすめ
3自分時間のコストを減らす
4他人時間を減らす
5他人時間の中に自分時間を作る