桂歌丸「真景累ヶ淵」
この見事なCDにケチを付けるつもありません。でも、以下の感想と希望だけは言わせてください。
ライヴ録音の良さはありますし、横浜にぎわい座における録音もいいのですが、もっとたっぷり語って欲しい。歌丸師匠の理想が各エピソード50分台(第5巻のみ40分台)だったのかもしれませんが、噺の端折り方を聴いていると、何かCD収録のための、エピソード構成のための時間制限がかかったかのようで、もどかしい。もっと聴かせて、という欲が出るような名演であるからなのですが、ちょっともどかしい。例えば、歌舞伎でも落語でも映画『怪談 【通常版】 [DVD]』でも有名な豊志賀の件(くだり)は事実上カットされています。『志ん朝復活-色は匂へと散りぬるを を「真景累ヶ淵-豊志賀の死」』など、豊志賀の件を別のCDで間にはさんで聴きたくなるもどかしさが…。
例えば、お久を殺す場面など、もっと不気味に下座を使ってたっぷり語ることもできるのでしょうが、ものすごくアッサリ。全体のバランスや、その時の雰囲気やノリもあるのでしょうが、スタジオ収録でいいからDVDで完全版というものを作れないものなのでしょうか?ただ、そういうやり方だと、小塚原の件など、コケオドシが無いぶんだけ、ずーん、と引き落とされるような効果はあります。
歌丸師匠は、入れ歯でもないし、全部が自分の歯だと以前「笑点」で圓楽師匠が言ったのをご本人が確認されたのを覚えていますが、決して歯1本1本が大きい人ではないため、録音によっては、やや息が抜け気味に聴こえることもあるのですが、このCD集については問題なく立派です。(でも、5枚のうち3枚が喉の不調を訴えているのはいかがかと。聞きづらいことはなく、断るほどでもないんですが。)
武林クロスロード (ガガガ文庫)
まず目に飛び込んできたのは、お札を構えた巨乳少女と拳法家風ムキムキのお姉さん!
中華の仙人風の話が好きな自分は、迷わず買いましたさ!!
もちろん中身は中華風で、仙術もあり中国武術ありと大満足!!
しか〜し!!エロエロです。かなりの強者じゃ無いと電車などでは読めないです。
・・・でも悲しいかな自分こうゆうの大好物なんです(泣笑)
ロマンス、バイオレンス&ストロベリー・リパブリック (ガガガ文庫)
ライトノベルの着ぐるみを着た、骨太の小説です。
筆者はとてもよく勉強されているようで、テクニックとしての戦闘、殲滅、制圧といった軍事的な事や対人制圧についても
本当に深く勉強されておられるようです。
自衛隊のレンジャーか警視庁の対テロ特殊部隊の経験者かな・・・と思ってしまったり。
冒頭のテロリストの潜伏する宿屋の制圧シーンは「ライトノベル」と思って読んでいきますとびっくりしますよ!!
海外のファンタジー小説の翻訳本を読んでいるような錯覚を覚える位しっかりしたお話です。
最近のライトノベルはお話が軽すぎて本当に「ライトなノベル」になってしまったような気がしますがこの筆者は一味違います。
しっかりご都合主義的な幸運の連続があったり、ラノベにお約束なライトなセクシーな場面があったりしますが、基本的にキャラクターはしっかり
していますし、ストーリーもかっちりできていると思います。
是非続編を読んでみたいと思うのは僕だけでは無いと思います。
お気楽な、お花畑なラノベに食傷気味な諸兄にお勧め致します。
圓生百席(55)真景累ヶ淵(しんけいかさねがぶち)~1「宗悦(そうえつ)殺し」~2「深見新五郎」
高価になりますがどうぞ全編お聞き下さい。
「素ばなし」といわれるジャンルに分類されるもので、
いわゆる怪談噺ではありません。
しかし怖いのなんのって!
効果音や演出に頼らず、単なるスタジオ録音なのに
この怖さは圓生師匠の高い技量に依るのでしょう。
前半のクライマックスは勿論「豊志賀の死」です。
古今亭志ん朝師匠もここだけ単独で演じておられます。
業病に憑かれた豊志賀の嫉妬、妄執は実に恐ろしく、
いいトシをして夢に見ました。
後半は「お累の自害」です。
人が変わった新吉の残酷さに身の毛がよだちます。
瞼を閉じても開いても情景が眼に浮かぶようで、
聞いてしまった事を後悔しつつ、どうしても
終いまで聞かずにはおられません。