ビューティフル・マインド ― アワード・エディション [DVD]
この映画を一言で表すとするならば、「美しい」という言葉でしょう。
この映画の特徴やおもしろさは、ラッセル・クロー演じる天才ナッシュが見ているものがはたして本当なのか、そうでないのか。自分が正しいのか、周りが正しいのか・・・ということが映画中盤まで全くわからないトリック的なところでしょう!そしてこの映画で最も美しいのは、自分にしかわかるはずもない苦しみや恐怖・悲しみを一緒に分かち合い、いつまでも孤独だった彼を愛し、優しく包んでそばにいてくれる家族・友人の限りない暖かさです。私は久しぶりにこんなにすばらしい映画を見れて本当に感激しました。必見です!!!
今までのラッセル・クローとは全く違った新しい彼の演技にも注目です。
Back to Bedlam (Clean)
元英国軍人という経歴をもつ新人シンガーソングラター。2004年にグレイのジャケで一度リリースされ、今年6月に装い新たに再リリースとなったようです・・こっちの青ジャケが気に入ってます。それと前後してアルバム収録曲のセカンドシングル『You're Beautiful』が何ヶ月もかけてじわじわチャートトップに駆け上がり、アルバムも何週もトップに君臨することに・・だからいいと言う訳ではないのだが、実際すごい。彼の甲高いが包み込むような声質が切ないメロディーになんともしっくりしており、時折でるファルセットが効果的。確かに、チャートアクション同様一気に昇華する系統のものでなく、何回も聴き返すうちにじわじわ染みわたるし、長く聴くに耐えうるアルバムと言い切ります。
収録曲どれもが聴き手を捉えて離さないメロディーで、静かな音とはいえ全く退屈しない不思議なほど説明しがたいアルバムです。
ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡
映画を見た人にはぜひこの本も勧めたいですね。映画はあまりに美化されすぎていますので(フィクションに近い美談としては楽しめますが)。この本では、元経済面担当記者の著者が数学者ジョン・ナッシュの周辺を丹念に取材して、膨大な記録をもとにこのノーベル賞受賞者を冷静沈着に描いています。司馬遼太郎の歴史小説を読んでいるような感覚がしました。単に天才数学者の生き様を描くだけではなく、彼の業績を持ち上げるだけでもなく、彼の奇行や精神分裂、家族の苦悩、数学と軍事・政治の関係、数学者のコミュニティなどなどさまざまな視点からジョン・ナッシュの周辺を炙り出そうとする著者の姿勢に好感を持ちました。
ビューティフル・マインド [DVD]
欠点らしい欠点が無い(笑いも無いけど)。様々な意味で素晴らしい映画。ナッシュ均衡(実在の主人公の仕事)あたりの話に馴染んでいた僕にとっては特にインパクトの強い作品でした。
「やたら面白い」という評判を聞いたのをきっかけとして見たのですが、「面白い」なんて軽いものではありませんでした。精神病や人間の思考を、多少強引ながらも、感動的に描くことに成功しています。
音楽も映像も美しい。それ以上に、ハートよりもマインドの美しさが強調されているのがニクイところですね。そのために少しわかりにくくなっているかもしれませんが。