季刊 真夜中 No.12 2011 Early Spring 特集:冬空の科学
創刊号から購入しているこのユニークな文芸誌。文系にも関わらずなぜか科学好きの自分にはピッタリの特集で、今までの中でも一番面白かった。
今までは、装丁は凝ってはいるけど、やはり文芸誌なので、内容ももちろんそちらより。それ自体には不満はないんだけれど、今回の特集は、かなりツボにはまった。
特に良かったのは、「三つの世界」という板尾創路×蜂飼 耳×池内 了の三氏によるQ&A。芸人、詩人、科学者の三人が同じ質問に答えていくというものだけど、池内氏の真面目な科学者としての答えはともかく、残りの二人の想像力豊かな答えが不思議さを醸し出している。センス・オブ・ワンダー(?)って感じ。
AR天体観測「真夜中のプラネタリウム」もすごい。開発は、あのAR三兄弟。夢のあるアプリだ。
そのほか、やくしまるえつこ氏「科学百科 入門篇」もSF好きの自分には、親近感の湧く内容で、とても良かった。
特集以外では、佐々木中氏と坂口恭平の対談「『次の自由』へ向かう」が興味深かった。前から気になる佐々木中氏の本は読むべきだろうか?
ナミダノイチ
インディーズ時代から光るものは持っていたし、完成された世界観をもっているなぁ、
と注目はしていたけれど、デビューしてシングル3枚を聴き、より洗練された方向に
向かったのか?とも思っていた。
しかし、今回のアルバムを聴いて、僕の予想を遥かに超えた幅広い世界を提供してくれた。
それは音楽性の幅だけではなく、スタンダードミュージックになりうるメロディーと
歌声に裏づけされたPOPSの王道の世界。
こういう音楽をやると、どうしてもバンド感というのが薄くなりがちなのだが、
蝉時雨はものすごい太さのバンド感を前面に打ち出しながら、さらっとやってのけている。
凄い才能ある新人が登場したものだ。
特殊な音楽ジャンルではないし、派手に目立つところも無いし、ビジュアルで目立つ
バンドでもない...。こういう音楽は10代の女性に受けるのかどうかは分からないが、
間違いなく70年代から80年代に完成された和製ポップスの21世紀盤がここにあります。
これを聴いて「名盤」という言葉が浮かんだし、僕の中では最近の邦楽の
ベストアルバムです。
01.僕のテレビジョン
02.24年とケーキ
03.待ち人に花
04.ナミダ工場
05.猫なで彼女
06.晴れたお空
07.煙の街
08.よごれた手
09.蟇
10.北風ハンカチーフ
11.蜩
12.シュガートースト物語