生命保険のウラ側 (朝日新書)
数百万という大きな買い物だというのに,その商品のことを
よく知らないまま購入している人が少なくないようだ.
本書は難解な保険商品に対する理解を求めるのではなく,
どのような保険が必要で,どのような保険が無駄かという基本的な部分を
実在の保険商品を挙げ,具体的な数字で比較しているので解りやすい.
そして,保険のプロ自身が加入したいという保険商品とは
どのような保険かが紹介されている.
保険会社ももちろん営利企業であり,儲けの大きい商品を
どのように売り込もうとしてくるかが痛快に書かれている.
(私には詐欺かと思うくらい狡猾な例もあった)
そのような保険会社にとって,都合のいい顧客にならないために
これから保険加入を考えている人はもちろん,見直しを考えている人も
必ず読んでおきたい本だと思う.
生命保険のカラクリ (文春新書)
結論から先に述べると、「保険とは民間がすべてなのではないということ。公的な社会保険によって私たちの生活は守られているのであり、民間の生命保険はあくまでもそれを補完するにすぎない」という、非常に大事な前提を踏まえ、生命保険を選択するポイントとして、以下の7点を著者は指し示す。すなわち、(1)死亡・医療・貯蓄の区分け、(2)必要最小限の加入、(3)安価な定期保険での死亡保障、(4)医療保障のコスト・リターン把握、(5)生保における長期資金の塩漬け回避、(6)加入済み保険の見直し、(7)複数の保険商品の比較、である。
殊に、著者は「保険金の不払い問題」に関連し、《単品主義》を勧奨しているのが目を引く。この考え方は、「加入する保険は給付内容がシンプルで、自分が百パーセント理解できるもの」、具体的には「特約はつけないで、シンプルな単品商品にのみ加入すること」を意味している。それはさておき、著者も言うように「生命保険は住宅に次いで、人生で二番目に大きい買い物」であって、実際、本書によれば日本国民が年間支払っている生命保険料の総額は、共済も含めて40兆円とのことで、わが国のGDPと比較して考えても大変な額となる。
にも関わらず、私なぞ典型的な例だが、差し迫った事態でも惹起しない限り、意外と生命保険等には日頃、無頓着、無関心な人々が多いと想像される。そういったことで本書は、生命保険業界の実情を垣間見ることができ、かつ生保の選び方などにおいても有力な手がかりを与えてくれている。とりわけ、若い社会人の皆さんには是非一度は目を通してもらいたいと思う書冊である。なお、著者の岩瀬大輔氏は、HBS(ハーバード・ビジネス・スクール)等を経て、現在、74年ぶりとなる「独立系」のネット生保「ライフネット生命保険」の副社長を務めている。
生命保険入門 新版
生命保険入門と言うより、生命保険学術書と言った方がふさわしい、幅広い知識、情報が得られる秀作です。
初版から5年振りの改定版、この間に著者はライフネット生命の社長に。環境の変化はあったけれど、生命保険をもっと知ってほしい、正しく理解してほしいとの生命保険に対する熱い思いと、業界寄りでない、公正な姿勢に全く変わりはない。
生命保険を熟知して経営の現場で活躍、そして業界の抱える課題に問題提起を行っている人が書いた本です。生命保険の知識と業界の現状、目指すべき方向等、総合的に学ぶことが出来ます。これから生命保険を学ぼうとする人、そして業界人、共に有益な一冊です。
業界を震撼させた不払い問題についても、発生状況とその原因について、きちっとした説明があります。
人生のリスクに対処する為に、生命保険は絶対必要。だからこそ、良い商品を提供し情報を公開し顔の見える業界に変革しなければとの著者の思いを全編を通して強く感じました。この著書が生保業界の革新に繋がることを熱望します。納得の2730円でした。