第七官界彷徨 (河出文庫)
この作品は とても不思議な作品であり、一度目は微妙な感覚を受け二度目は面白いと思うようになり三度目には世界観に浸っている自分がおりました。
第七官界彷徨というのは作品の内容ではなく、読み手の脳内で行われる事ではないのかと思いました。
読めば読むほど味の出る書物であります。
第七女子会彷徨 1 (リュウコミックス)
全く予備知識なしの状態で彼女の書いたイラストを見た時「いずれ自分は、もっと深く関わりたくなる」と直感しました。 僕はジュブナイル(日本で言う所の、ヤングアダルト)的な世界が元々好きです。小学校の時に読んだジョン・バッカン『魔法の杖』に魅了され、TVでは「ウルトラマン」「ウルトラセブン」等を好みました。そして小説は筒井康隆さんの『七瀬ふたたび』など。そして『転校生』『異人たちとの夏』、近年では梶尾真治さん原作の『黄泉がえり』『この胸いっぱいの愛を』など。 それで、この「つばな」さんの描くこの本の世界。基本的に僕はハッピーエンドを好む傾向で、「あまりに絶望的」なストーリーは好きになれないのですが、SF的超常現象などが多数あらわれるのにベストフレンドの二人が相手の事、身の回りに居る仲間達との出来事「優しく見つめながら過ごす、とある学生時代の一日」が綴られていて、とても懐かしい感覚を持って爽やかに読み終える事が出来ました。 一話完結でSFのショートショート小説に似たような味わいもありますが、複雑なトリックやどんでん返しの代わりに可愛い二人が交わすギャグがそれを補っているのです。 他界したクラスメートの女の子が生前の悩みをちょこっと告白する:第五話【デジタル天国/Extra dates】、かなりグロテスクな絵が強烈な印象の:第十話【小麦粉星の遊体X/The fall from another world】、前半まで凄く怖くて吉祥寺のU先生みたいなのに、後半は愛らしい話にモーフする:第十一話【放課後に幽霊/Come back,anytime】など、話の攻め方は何れも素晴らしい。 描かれている絵のタッチも異様な程細かいものも多く、手抜きの出来ない性格の作家さんのように思いました。 僕の個人的な感想ですが、全ての話の底辺には「人に対する優しさ」が感じられます。『あとがき…?』というのが最後の数ページに収録されているのですが、これは雅に映画のエンドロールのようで、これを読むと心がほっこりとします。そして本当に一番最後のページのイラストの雰囲気がこの作品の全て、作家さんの人柄を表しているようです。 単行本としては2010年8月現在、まだ2冊。こんな素敵な作家さんに早い時点で出会えたのが、本当に嬉しいです! p(^^)q