コールドマウンテン〈下〉 (新潮文庫)
私にとって、必ずしも読みやすい本ではありませんでした。
エイダとローズの部分はわくわくし自分もそこにいて、当時の生活の智恵を学んでいるような気分だったのですが、インマンの旅の部分は彼の辛さがそのまま文章から感じられるのか、読み進むのがしんどく放り投げてしまいたくなることもありました。
残酷に感じる部分もありましたし。
ですが、読み終わってみると妙に心に残りました。
彼のことを忘れたわけではないけれど、生活がのしかかりそちらに意識が向いてしまっているエイダと、彼女を思う気持ちだけで辛い旅を乗り切ろうとしているインマン。
そのふたりの心の温度差のようなものと、実際に二人を隔てている距離。
そういうものがうまく表現されていました。
よく男性は別れた後もその女性を忘れられないと聞きますが、この小説を読むとなんとなくその気持ちも理解できたような気分になりました。
コールドマウンテン [DVD]
注意:ネタばれ有り
二コール・キッドマンって演技うまいんだけど、キャラが濃すぎるので配役間違えると大変な事になる役者さんです。例えば「ライラの冒険」・・・(三部作構成の予定はどうなったのだか)あれを見てからニコールキッドマンの映画に手を出しづらくなっていた。
本作はアメリカの映画脚本の授業で参考にされるくらい素晴らしい脚本だと耳にしたので、勇気を出してレンタルしてみた。
物語の舞台は南北戦争末期。ある2人の男女が恋に落ちた。たった一度の口づけを交わし、男は女を村に残し、戦場へ旅立つ。あまりに短い思い出だけを頼りに、女はコールドマウンテンで男の帰りを待ち続ける。悲惨な戦場で友や理性を失った男は、戦争の無意味さを知る。愛する女の元へ、命あるうちに帰ろうと、彼は重症を抱えたまま戦場から脱走し、徒歩で故郷・コールドマウンテンへ向かった。
愛する女の為にボロボロになりながら故郷へ帰る男と、男を待ちながら強くたくましい女へ成長していく過程を壮大に描いた一大叙事詩。
だいぶありきたりな物語でしたが、序盤の構成が素晴らしかったので完全に物語に入っちゃっていました。この手の話は食い入るように見ていればかなり面白いものです。ニコール・キッドマン・ジュード・ロウレニー・ゼルウィガー・ナタリー・ポートマン等、かなり豪華キャストを揃えて描く大味なメロドラマを、ヒット狙いの感動作というよりも、スケール感を保ちながら詩的に美しく描いたのはさすが名作「イングリッシュ・ペイシェント」のアンソニー・ミンゲラ監督だ!もう亡くなっている事が残念でしかたない。
脚本もアンソニー・ミンゲラが担当しているのだが、脚本のお手本みたいな脚本という印象。だから、人によってはひねりの無い話だ。と思う人もいるでしょう。ただ、映画って見せる角度によって全然変わってくるという事を教えてくれる映画です。
ニコール・キッドマンがライラと比べて別人のように魅力的に見えたんだもん!!
コールドマウンテン 新潮クレストブックス
聞き覚えのない外国の作家の作品を読むとき、それがクレストブックスの背表紙だと、たいてい安心して買いもとめることができる。
思いもよらない作風だった、ということはあっても、外れたことはこれまでに一度もない。
憧れのジュンパ・ラヒリにも、寡作の名人アリステア・マクラウドにも、そうやって出会った。
そして「コールドマウンテン」も、もちろん「当たり」であった。
南北戦争で傷を負ったインマンは、病院を脱走し、はるかノースカロライナの故郷をめざして命がけの旅を始める。彼を支えているのはただひとつの思い、コールドマウンテンに残してきた恋人エイダに会うという希望だ。
同じころコールドマウンテンでは、都会から移り住んできた牧師の娘エイダが、突然父を亡くし途方に暮れている。彼女はルビーという少女の力を借りて慣れない農作業を覚え、生きる力を身につけてゆく。
ロードムービー調の長い作品なので、途中でちらりとラストを盗み見てしまった。
なーんだ、そうなるのか。と半分安心して読みすすめていたら、突然のどんでん返し。盗み見た文章の意味が、180度ひっくり返ってしまう。思ってもみない結末に、しばらく物語の世界から抜け出すことができず、呆然とする。
コールドマウンテン [DVD]
アンソニー・ミンゲラらしい、壮大なメロドラマ。
主演の2人はアメリカ人ではいものの、
しっかり役になりきり、
出兵前の一瞬の心の通じ合いを頼りに、時代を生き抜きます。
この設定だけで、既に物語は完成していると言ってもよいでしょう。
そして、何より脇役陣が素晴らしい。
本当の南部人であるレネー・レルウィガー。
「プライドと偏見」でも良き父親役を演じたドナルド・サザーランドら、
その他にも主演級の役者が次々と登場しては花を添えてゆく。
贅沢といえば贅沢ですが、それが物語りを削ぐことはなく、
しっかりと物語を支えている。
アカデミー賞ノミネートも納得の作品です。
コールド・マウンテン オリジナル・サウンドトラック
詳しいことは知りません。人情味のある曲(歌)が沢山入ってます!
映画の中で教会でみんなで歌っていた曲も入ってます!
最後の方に映画の印象的なシーンで流れる曲が数曲入っています。
とても切なかったです。ああって胸きゅん(死語?)しました。