やっぱりおまえはバカじゃない (小学館文庫)
どの学力段階のときにどういう勉強をすればよいか、どういう状態が「できる」こととなっているのか、なまじ気がついたら偏差値がマークできてる人にはわからないことではないかと思います。
本書の中には先生以外にも、先生の教え子さんのどの程度の時間でどのくらい成績があがったという記述があり、受験生の不安を静めてくれる効果もこの本にはあるのかなと思います。
1987年の和田式以降なんだか中途半端に受験技術が公開されてきましたが、「特別付録に掲載されている勉強法」がいったいどういうことができるということなのか、そして、その能力をつけるにはどのようにすればいいかをまとめた部分ここだけでも一読の価値があると思います。(あとは英語の勉強法を探しましょうか?)
「嫌消費」世代の研究――経済を揺るがす「欲しがらない」若者たち
すでに何人かのレビュアーが書いているが、消費しないバブル後世代の
最大の特徴を「強い劣等感」とし、ネガティブな言い回しで「嫌消費世代」
としている点が私も気にくわない。
いつの時代も、古い世代は「最近の若いやつは」と嘆く。
しかし、いつの時代も、若い世代が次の時代を切り開くのだ。
・・・ただし。
この本は良い本である。
少なくとも私にとってはとても良い本だった。
調査の専門家が書いた本だけあって、データの取り扱い方や分析の仕方に
誠実さやまじめさを感じる。
調査に対するこだわりや気概が伺え、若い世代の特徴はきちんと捉えている。
問題はその特徴をどう解釈するか。
著者はこれまでの古い世代を「是」、若い世代を「非」と無意識に捉えている
ように思えるがそれさえなければ、この本は実に有用であると思う。
掲載されている調査結果をもとに、著者の解釈も参考にした上で、
読んだ人それぞれが解釈すればいいのではないだろうか。
自らの解釈のみ、あるいはそれに都合の良いバイアスありありの
データのみを出している本も多い中、この本は各種データや各世代の特徴を、
公正な立場で一度きちんと表してから、著者が自らの解釈を加えている。
そういう意味で良い本だ。
私自身の解釈・考えは、むしろ古い「消費世代」が、この本で言う若い
「嫌消費世代」を見習わなければならないと思う。
環境に優しいサスティナビリティな社会を築いていくには、彼らの感覚・
価値観こそがマッチする。
企業は、彼らが気に入るサービスや商品をつくり、彼らの心に響くコミュニ
ケーションを行って行かなければならない。
そうしなければ、古い世代とともに消え去る運命となるだろう。
こうした考えを与えてくれた本書に感謝したい。