星守る犬
「泣ける!」「号泣!」なんて謳い文句の本は好きじゃない。
感動の押し売りは嫌い。死にネタで泣かすのは卑怯。
そんなひねくれた私が、三ページ目ですでに目頭が熱くなりました。
最後は胸が痛くなり、思わず涙が…。重い…。
とにかく読んでみてくださいな。
「泣きたい」「感動したい」ではなく、普通の気持ちで。
色んなものを感じられますよ。
内容に賛否があるのもわかります。
ですが、今の世、こういう人は本当に増えてるんですよ。
「普通の真面目な人」が、転落し、無縁仏となる数の多いこと多いこと…。
だから、一概にリアリティがないとはいえない。
「もっとやりようがあったじゃん!」というならば
毎年、尋常じゃない数葬られていく無縁仏はなんなんでしょうね?
虐待で殺された子に「なんで逃げなかったんだろ?いつでも逃げ出せたろうに」と言うようなもんです。
周りから見れば「やりよう」はあるのかもしれませんが、みんな器用には生きられないんです。
「犬好き」という人が、レビューで怒り狂い、唾吐いてるのが多いですね。
疑問点も多いし、作品に批判があるのは承知していますが。
「犬がかわいそう!最低!」と言って、「無責任」に死んじゃったお父さんをひたすら責める。
まるで犬の気持ちを代弁したように講釈たれて、お父さん(および作者)を罵倒してるけど。
……どーなの、それ。
動物愛護って、一歩間違うと怖いんだなと思いました。
人に対しては冷たいんだよね、基本的に。
彼らの中ではお犬様>>>>>>人間なんだろうなぁ…。
人が死んでても、犬が生き残ってれば嬉しいんだろうか。
「絵が下手」との意見もありますが、イマドキのお綺麗な絵柄で描かれるより良かったと思いますよ。
まつげバッチリ、アゴの細いイケメンのおっちゃんでも見たかった?
こういう絵柄、「下手」じゃなくて「味がある」って言いますん。
続・星守る犬
続編が出るらしいと聞いたときは『ん?』と思いました。二匹目のどじょう狙いで無理矢理話を作ったりしてはせっかくの世界観が壊されてしまうのではないかと危惧したのです。ところがとんだ杞憂でした。続編という枠を越えて、十分魅力的で温かい素敵な作品でした。誰からも見向きもされなかった人間とわんこが、自分を必要としてくれる誰かと出会うことで生きる希望を得るというストーリーです。絶望からの再生、『生』への希望、温かい感動の涙があふれて止まりませんでした。サブキャラがチャーミング。犬が可愛らしい!読み終わりもう一度表紙のわんこを見つめて、よかったなあとつぶやきました。涙に濡れた微笑みが静かにひろがる読後感でした。