カリガリ博士の子どもたち―恐怖映画の世界
本書はホラー映画の流れと分類を古典から詳しく分析した古典的な名著である。多くの恐怖映画作品が有機的に結びつけられて説明されており説得力がある。安っぽい映画ライターが書いた本も悪くはないが、本書をガイドブックとして古典作品に挑戦してみるのもよいだろう。もちろん新しい作品は紹介されていないが、著者の視点は古びてはいない。
カリガリ博士 [DVD]
超名作!表現主義に触れるならば、この作品が良いでしょう。
全ての映画の異様な美しさはこの作品から来ているといってもいいでしょう。
退廃美の原点です。ホラー映画の親といってもいいでしょうか?
チェザーレが異様なんです。表情とか普通じゃなくて不気味です。
(チェザーレなんか、スラッシャーホラーの原点的存在といえるかもしれません)
建物とか、空間が全部歪んでいて、観ているこちら側を不安にさせます。
光と影を巧みに使い、とくに影の深みが素晴らしいです。
全体を深い闇が支配しています。
舞台美術やあらゆる芸術ジャンルに影響を与えているようです。
全てが歪みきった狂気の沙汰です。
是非、もっと綺麗な映像で観てみたいです。
カリガリ博士 新訳版 [DVD]
ドイツ表現主義の傑作が500円で買えるのですから、WHDジャパンのラインナップは素晴らしいです。モノクロ、無声映画で画質もあまりよくないのですが、ゆがんだセットの中で起こる話は悪夢を見ているようなリアリティがあり、ストーリーも役者も映像も最高です。眠り男ツェザーレの殺人場面などは今見ても恐ろしく、必見です。
ホラー映画の世紀 (別冊宝島 1577 カルチャー&スポーツ)
自分はホラー映画が好きだけれどもそれほど詳しいわけではないので、とても興味深いラインナップだと思った。作品紹介に写真がかなり載っているのはうれしい。そして、なによりこの価格でDVD2枚付きは非常にお得だと思う。タイトルは知っていたけど観たこと無い作品だったので、いい機会になった。ただ、自分の好きな作品が入っていなかったので、星マイナスひとつ。
死神の谷 [DVD]
『グリム童話』にあり、我が国の落語「死神」(これはシルクロード・中国さらには韓国を経由して届いた説話)にもある設定を根幹として、異国への「憧憬」をラングが心ゆくまで楽しみながら創作しています。ただし、「俊徳丸とハインリツヒ」(いわゆる比較演劇あるいは文学・文化論における「血の伝承」)を肯定するわけではありません。むしろ、その逆説になる映画だと存じます。
『聖書』の一節が「キーワード」となることも、ノヴァーリス著『基督教社会あるいは欧羅巴』の言辞を彷彿とさせます。E・T・A・ホフマンの著作の叙情的怪異譚もだぶってきます。映像も、現代のSFXと比べても見劣りがしません。いうなれば、古いがゆえに新鮮な感覚。また、最初に登場する役者たちも扮装を変えつつ、登場するという演出も巧妙です。
「メトロポリス」も確かにすごい作品ですが、私は、こちらのほうが、さらに素晴らしいと感じました。それが、この値段、手に入れてじっくり観なければ「損」だと存じます。