蝶の舌【日本語吹替版】 [VHS]
病弱であるため少し遅れて学校に行くことになった少年と心優しい先生との心温まる交流と戦争の暗い影を描いた作品。
子どもの頃、こういった先生に出会えた人はとっても幸せだと思います。こんな先生もいたなぁと昔をなつかしく思い出させる、お話です。
派手な演出や凝りに凝ったカメラワークなどがいっぱい使われている最近の映画にちょっとうんざりしている人にお勧めの映画です。
最初のほうのスペインの美しい映像で魅せる幸せな日々と、だんだん忍び寄ってくる戦争の影響の差があまりにも大きいので本当につらくなってきます。
ただの感動作品で終わらない、少し考えさせられる作品です。
蝶の舌 (BOOK PLUS)
私は映画を見てから本を読みました。映画ではほとんど戦争の暗さを感じさせないとても温かい雰囲気の中、最後のシーンに頭を殴られたようなショックを受けたものですが、この本の世界も、ある意味似ているといえると思います。(原作なので当たり前かもしれませんが) 本は短編集ですが、全体を通してはすごく詩的な世界です。全体的にむしろほんわかとした流れであるのですが、それでも作者の鋭さ、敏感な感じが見え隠れし、なんとなく彼の世界にハマっていってしまいます。なんとなくというのも、わたしはこの本は一度読んだだけでは完全に理解することはできなかったからです。ですがこの本は、何回もくりかえして読みたくさせる本であるとおすすめします。
蝶の舌【字幕版】 [VHS]
最初観たとき、単館上映だったので土曜日の銀座、もちろん人が沢山の映画館へ行ってみてきました。
…出てくるときに文字通り嗚咽を上げながら出てきました。
描写が繊細で美しい、失われゆく少年時代、純粋さの代償に手に入れるもの。
そんなものを伝えるの映画は吐いて捨てるほどあって、私は飽きもせずにそれらが大好きなんだけど、あきらかにこの映画はそれだけで「はい、オ・ワ・リ!ちゃんちゃん!」の領域を越えている。
美しさ、純粋さ、罪悪感、尊敬、憧憬…膨らませるだけ膨らませてこれは結論を提示しない。全部全部自分の中でつじつまを合わせねば行けない。
「ああ、あの主人公こう思ったんだ」という客観としてではなく、強く強く心に主観として残る感覚。この映画以外でこの感覚に陥ったことは無い。
もう二度と観ないかもしれません。好きすぎて。
蝶の舌 [DVD]
マニュエル・リバス原作の同名の小説の映画化です。全体の印象はルイ・マルの「さよなら子供たち」を思い浮かべれば、種明かし的にイメージできると思います。ただ、「さよなら子供たち」よりはずっと明るく、力を抜いて見ることができ、映像そのものや、そこで流れる時間に安心して身をまかせられる作品です。