銀色のシーズン プレミアム・エディション [DVD]
美しい雪山(カナダ&八方尾根)を滑り降りる名スキーヤー達の勇壮なシーンと躍動的な音楽に始めからわくわくしたが、この映画は現実性に乏しい普通のエンターテイメント映画ではなかった。
人は誰しも失敗や挫折や不幸を経験して、それをきっかけに自分の弱さと向き合うことになる。立ち直るには愛や信頼や優しさ、そして時間を必要とするが、周囲(親達)は彼らの弱さを受け入れようとしない。理解しようとも、されようともしなくなり、若者はついに孤独になる…
この映画の主人公達はしていることは突拍子もないはた迷惑なことばかりだが、現実にどこにでもいる普通のさまよえる若者達だ。
挫折感から抜け出せない(祐次のような)人は、時として逃避的な日々を送るようになるだろう。
目的が見つけられない(次郎のような)人は、時としてがむしゃらに手近な達成感を求めるようになるだろう。
失敗によって傷ついた(銀のような)人は、時として平然と生きている大人を憎むようになるだろう。
愛を失ってしまった(七海のような)人は、時として心を病んで、異常な行動をとるようになるだろう。
もし自分にそんな経験があればしめたものだ。
…あるところから突然、主人公達の語られていない言葉や人生が見えてくる。この映画は実は愛と優しさだけで出来ている映画だと思う。そこに気付けば、あとはジェットコースターのようにこの映画が面白くなってくるだろう。
何度でもまた見たくなる映画だ。
…1回目だけではその醍醐味が味わえないので ≪要注意!≫