ジャンヌ・ダルク [DVD]
彼女が聞こえる「神の声」は果たして神の啓示なのか?
それとも思春期特有の一種の神がかりと復讐心によって強化された自我の発露であったのか?
それは皆さんの目で見ていただくとして、ポイントは彼女の髪。
金髪であったジャンヌの髪の色が少しずつ黒ずんでいきます。
あたかも、彼女のカリスマが日に日に失われていくように。
ラストは皆さんもご存じのように、同胞の助けもなく
「魔女」として火あぶりにされてしまうのですが、
そこで、監督なりにジャンヌに対し一つの解答を呈示しています。
表現がかなりエグイので心臓の弱い方は覚悟して観賞してください。
しかし、「神の加護」があるかともかく、
彼女のような勇気ある少女が先陣を切ったら、戦う男どもの士気も上がります。
その臨場感が映像からあふれてきます。
ストーリーも秀逸ですが、戦いのシーンだけで☆5です。
チェンジリング 【ブルーレイ&DVDセット 2500円】 [Blu-ray]
BD+DVDセットでも入手しやすくなったものだ。
クリント・イーストウッド監督の最近の作品は傑作ばかりだが、本作も期待を裏切らない。彼の監督としての底知れぬ才能、つきないアイデアには感嘆するほかない。大恐慌の時代の実話というのが信じられないストーリーだが、実話ゆえの重みにたじろぐ。息子に起こったことの真実を知りたくて、腐敗した権力と戦う勇気あるヒロイン役のアンジェリーナ・ジョリーの熱演が素晴しい。女性の権利がないがしろにされがちだった時代の壁に、全身でぶつかっていく様は圧巻。その演技を引き出し、映画全体のトーンを最初から最後まで見事にコントロールする監督の力量には惚れ惚れする。監督は作品によっては白黒で撮影する等、画面の色彩の選択に工夫をこらすが、本作も大恐慌時代のロサンゼルスという舞台の雰囲気を伝える絶妙な色彩感覚で画面が統一されている。これは是非各自観て下さいというしかない。
市電が走る戦前のロサンゼルスの街の再現も本作の魅力の一つ。警察のでたらめぶりとあわせて、なるほどハードボイルド小説の主人公フィリップ・マーロウが活躍し、映画「チャイナタウン」の舞台になるのはこの街しかないことに納得がいく。60年代の西海岸文化の中心地としての明るいカリフォルニアのイメージしかない人には、陽光に恵まれながらもダークな天使の街の裏面を知るよい機会になるだろう。そして人々がこの街で正義の実現を求めた姿、ヒロインが最後に希望をかいまみる場面には深い感動を禁じえない。
チェンジリング [DVD]
イーストウッド魂心の人間ドラマ。わが子のために戦い続ける母親を演じるアンジェリーナ・ジョリーの迫真の演技が素晴らしい。 そして20世紀前半の米国社会の描写や、主人公とともに戦う人々の人間性も魅力的です。
張り詰めた緊張感。優れた演出。二転三転の展開。これを鋭く追い続けるカメラワークが冴える。そして何より、ジョリーが母の強さを情感豊かに熱演。障壁にめげずに立ち向かい続ける、限りなく強い母の愛が何とも感動的で、みるものの胸をゆさぶります。 実在のこの母親は、我が子の帰還を生涯待ち続けたのだという。エンドロール前、浮かび上がる字幕に、その彼女の軌跡が淡々としるされ、みるもののこころに、重く、せつなく、余韻を残す。。。
巨匠イーストウッドの傑作のひとつといえるとおもいます。重く魂に響く高水準のヒューマンドラマとおもいます。星5つです。