やんちゃくれ―コシノのお母ちゃんと三姉妹の奮闘記
今年の秋のNHK朝ドラ放送予定の、コシノ3姉妹の母綾子さんの自伝。
著者が88歳の時に書いたもの。
大阪の岸和田で育った、男勝りの女の一代記。
男尊女卑が激しくて、女が仕事を持つことが難しかった時代に、「女のくせに」と言われ続けた頑張り屋の綾子さん。
学校で男の子と喧嘩して帰ってきた綾子さんへの、父の力いっぱいの平手打ち。
「本当の男の力」を教えられ、見せつけられてからのの奮闘ぶり、昭和という時代と戦ってきた人。
跡取り娘として、父の「小さな愛情」ではなく「大きな薄情」で、見守られ育まれた根性と才能。
パッチ屋で奉公する娘をそっと見守り、さらにはばたかせるための親の画策と愛情。
娘が作った「アッパパ」を着て歩く父、裁判所での人生の重大事の逸話は、今後ドラマ化されたら一番の見どころになるかもしれない。
新婚時代、3人の娘を授かりながらも戦争で夫を失った事、夫の重大な秘密、初めての恋、不倫関係など、コシノ3姉妹のお母ちゃんは波乱の人生を送ってきた。
娘たちはライバルであり、友でもあると書いている。
子育てはした記憶がない〜と書いているが、女手一つで自分達を育てたパワフルなお母ちゃんのミシンを踏む姿を見て、3人の娘が不思議な事に全員デザイナーの道を進んだ。
親が一生懸命に生きて働く姿が子供の記憶に残るもの。
著者は、娘たちが自分の財産とも記している。
今後、ドラマ放送を前に、文庫化される可能性もありそう。