Velvet Underground & Nico
「このアルバムは売れなかったが、聞いたやつはみんなミュージシャンになった」というルーリード自身の言葉にもあるようにほぼ全曲と言っていいほどカヴァーソングが発表されている名盤中の名盤です。この年のビートルズのホワイトアルバム、ピンクフロイドの夜明けの口笛吹き、ドアーズのハートにファイアーと並ぶ傑作中に傑作にもかかわらず売れなかったのは歌詞のどぎつさが大いに要因のひとつでしょう。しかし例えばデビットボウイがルーに接近したのもheroinの曲のよさに惚れたというエピソードもあるぐらい(後に彼のHEROESで再現)ミュージシャンの心をつかんだのでしょう。もう2度と生声を聞くことのできないニコのけだるい声もループ的不協和音的サウンドも何故か心地よくなってくるから不思議な傑作アルバムです
ソングス・フォー・ドレラ [VHS]
●元ヴェルヴェットアンダーグラウンドのルー・リードとジョン・ケールが1989年12月6日、ブルックリン アカデミー オブ ミュージックにて一緒に行ったライヴの完全記録で、同名タイトルのCDをそのままライヴで再現したもの。
●一切の無駄を排したシンプルで独特なサウンド(ルーのギター!ジョンのピアノ・ビオラ!!)、ボーカルを分け合う2つの個性のぶつかり合い、そして故・アンディ・ウォーホルの日常が浮かび上がる語りかけるような歌詞世界や節回し。正にアンディに捧げる内容になっており、ヴェルヴェッツのルーツを感じずにはいられない。天国でアンディも涙したに違いない出色の出来。
大人のロック! 2008年 秋号【Vol.16】[雑誌]
特集1について:70年に解散したビートルズと今も転がり続けるストーンズの対決など無意味ではと危惧していたが、60年代の両者の活躍の比較にフォーカスし、時代の空気をうまく伝えている。カバー曲の比較等が資料として役立つ。ポールの2008年コンサートの情報もホット。特集2のWHOの特集は、彼らが日本で人気が低い理由にまで言及するいい企画だ。イーグルスのホテル・カリフォルニア再聴は、タイトル曲の歌詞の分析等を含む丹念な特集。マンネリを避けるよう、米国に目を向けた企画が増えることを期待する。
今号ではジャクソン・ブラウン、ディラン、CSNY、クイーン+ポール・ロジャースの最新盤情報に特に満足した。何れも9〜10月に日本盤が発売されるので、注文したが、ジャクソンの日本盤のボーナス・トラックにはD.リンドレーとの競演ライヴの「レイト・フォー・ザ・スカイ」がボーナス・トラックとしてつくとのこと。これは絶対にお薦めだ。ディランのブートレッグ第8集はとんでもない大作になる。その他、紙ジャケ等で再発される旧作が多く、欲しい作品が多くて嬉しい悲鳴。ツェッペリンの紙ジャケ工場見学も興味深かった。しかし、手を変え品を変え旧作を洪水のように発売するのはいかがなものか。EL&PはK2HD紙ジャケが出たばかりなのに今度はSHM−CDが出るのにびっくり。アマゾンのレビュー等を参考にして取捨選択しないと買いすぎになる。皆様、ご注意を。
他の記事では、60歳以上のロッカーの活躍の特集、夏木マリがジャニス・ジョプリンへの思いを語ったインタビュー、キース・エマーソンと菅野ヘッケルのインタビューが読み応え十分。以上、中年ロック・ファンにはお腹一杯になる情報の充実ぶりだ。一点、内容の紹介のところに記載されている、ルー・リードの70年代活動史は今号には掲載されていない。
ルー・リード/ベルリン [DVD]
お詫びから。以前にレビューで字幕なしと記しましたが、単なる当方の設定ミスでちゃんと訳詩の字幕がつきます。やはりこの作品は映画同様字幕がなくては。ルーの世界に浸れます。
英語が堪能な方以外はぜひ日本版で。(高いけど)
本編は当然ながら、アンコールの二曲も白眉。演奏・映像・編集とも申し分なしの作品です。
*リアル「ベルリン」世代なのですが、この作品が失敗作だったとの解説を読んでビックリしました。日本ではレビューの評価も高かった記憶があるし、この手の音楽が好きな周りの友人は皆持ってましたからね。
トランス・フォーマー [DVD]
トランスフォーマーを巡る新旧の映像やインタビューで構成されたドキュメンタリー作品です。
当時のスタジオミュージシャンやエンジニア達による演奏やミキシングの再現がとても良かったです。
一番印象的だったのが「ワイルドサイドを歩け」でウッドベースとエレキベースで同じコードを少しずらして録音した時の再現シーンでした。
プロデュースしたデヴィッド・ボウイや生前のミック・ロンソンのコメントも良かったです。晩年のロンソンは非常にやつれて痛々しかったですが、当時のルーや自分達のことを語る姿にグッと来ました。
ジャケット写真を撮ったミック・ロックや、「ワイルドサイド」の歌詞のモデルと言われているホリーやジョーも出演しています。
廉価版が出たのは嬉しかったですし内容にも満足しているんですが、「ニューヨーク」以降が好きな方には合わないかも知れません。
したがって星は4つに留めておきます。