後期ショパン作品集
音楽のレビューは原則として書かないことにしているのだが、禁を犯して書くことにしたのは、ここに収められた演奏が史上稀に見る名演であるにもかかわらず、きわめて誤解されやすい性格をもっていると思うからである。
ショパンの音楽を典雅なサロン音楽と勘違いしている人が世の中にはゴマンといて、そういう輩がこのCDを聴いたら、(もしその人に聴く耳があれば、という条件付きだが)きっとこの「暗さ」にがっかりとすることだろう。しかしショパンには、モーツァルトの哀しみとは違った心の闇がある。後期作品を並べたこの作品集は、ショパンの深淵にあえて光を入れず、光なき奈落を覗き込んだような演奏である。私の好きなソナタ3番は筋肉質のポリーニと対照的かつ双璧をなす名演で、私は最初のいくつかの音を聴いて、びっくりした。そのあとの曲の選択・配列もよく練られている。チェロのゴムジャコフもよくがんばった。なお、同一コンセプトによるこの二人の日本公演は、恰も演劇のような舞台であったという。
こうした外連(ケレン)は私の好むところでないのだが、このCDは別。これはショパン演奏史上特筆すべき名演奏であり、一編の作品としても名作であると思う。
ショパン:ワルツ集
とってもパンチと生気に富んだ、でも切ない情感もたっぷりある新鮮な
演奏。私はワルツの何曲かを練習している時、いつもかけっ放しで聞い
ていました。演奏曲順は伝説的なリパッティの演奏順に添っているとの
こと。リパッティの演奏は今更私が言うまでもない、伝説的な名演です
が、この演奏もとってもいいと思います。考えてみるとピリスという人
はリパッティの系統に属するのか、と思いました。レパートリーも似て
いるし。
他に私はタチヤナ・シェヴァノワの演奏もお気に入りです。これはもう
少しおとなしめの演奏、でも情感のこもったもの。ワルツはショパンの
なかでは比較的技巧は容易と言われていますが、逆に図抜けた演奏は難
しいものだと思います。
モーツァルト生誕250年記念BOX モーツァルト:ピアノソナタ全集
クラッシック初心者ですが、本CD集で初めてピアノソナタを買いました。
初心者にもはっきりとわかる、透明感のあるすばらしい演奏と録音です。
5枚通して聞きますと、中にはCMなどで知っている曲が何曲もありました。
ピアノの弾き方が、とてもやさしくていねいに奏でられています。
買う前はジェケット写真から拝見すると、ピアニストのピリスさんは、
青少年だとばかり思っていましたが、女性だったのですね。
本CD解説により、超有名天才女性ピアニストだと知り、恐縮至極です。
これからも本CD集を聞き込んでいきたいと思います。