なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)
溝口敦氏の『パチンコ30兆円の闇』の読後に続けて読んだ。
ほかのレビュアーも言及している通り、著者はデータ比較をせずに断定する箇所が多く、また相撲業界や自動販売機、小泉政権など直接関係のない話題が唐突に出てくるなど文章の書き方に稚拙な部分が見られる。
この点は次作に期待したい。
しかし韓国がパチンコに酷似したギャンブルであるメダルチギを全廃していた点や、オムロンが開発した、客を管理して勝ち負けを操作する目的の「顔認証システム」の存在は本書で初めて知った事実である。
また、パチンコ廃止に取り組む議員とパチンコ業界を擁護する議員をそれぞれ名指しで挙げている点も評価したいと感じ、星4つとした。
名著とは言い難いが一読の価値があり、冒頭の溝口氏の著作と併せて多くの方に読んでほしい。
涙にバイニー [DVD]
前から気にはなっていたんですよね。でもユニット時代のものだし、どれだけあーやが映っているかわからないしで、買うのを躊躇していました。ところが、YouTubeにSpringsが歌っている映像があって、その中のあーやのかわいいこと!! 即、アマゾンのサイトを開き、購入ボタンを押しました。
とにかくあーやがかわいい! もちろん今もかわいいですが、15歳という大人と子供の境目の時期の、独特の雰囲気が最高です(て言うか、今もあまり変わってない?)。残りの2人もそれなりに魅力的ですね。歌も踊りもそこそこうまいし、語りも面白いし。どうしてSpringsが売れなかったのか不思議です。
カバー曲にしたのも、へたにつまらないオリジナル曲にするより良かったと思います。まあ、予算の関係だったのかもしれませんが。どれもいい曲で、3人が一生懸命、そして楽しそうに歌っている姿がさわやかです。特に、1人がソロで歌い、後ろで残りの2人がダンス風の動きで応援するのが面白かった。PVみたいにやたらと画面を切り替えたり、妙な効果を入れてないのもグッジョブ。あーやの踊る姿を固定視点でじっくり見られます。
あーやのPV集がない今、「激奏」と並んで、あーやの歌い踊る姿が見られる貴重な1枚です。値段がもっと安ければいうことなしですが、それだけの価値はあります。あーやファンの皆さん、買って損はないですよ。
吉田拓郎 ゴールデンJ-POP THE BEST
吉田拓郎という作家がいかに大きく凄かったか、それに尽きる。この36曲のバラエティは。
詞の棘と儚さは、生活のささやかな部分にまで染み渡るリアルさを持つ。無機質のようでよっぽど今のPOPSよりも熱がある。描写についていえば「加川良の手紙」のような無感情なままの作品もあれば、「制服」のように悲哀を隠しさらっと事実描写だけにし、こみあげる情感をつくる曲もあり、一方もっと剥き出しの「おきざりにした悲しみは」のように、握った拳の緊張まで伝わってくる曲もある。
そしてコード、メロの良さ。日本人のこころに云々という部分だけでなく、その曲構造自体の揺ぎ無い普遍性が凄い。詞の強烈さを和らげる効果がコードにさりげなくinputされており、軽い虚無感を漂わせる瞬間がある。それがむしろリアリズムを生んだようだ。何故かといえば、詞の熱さに相乗させる音型やリアリズムばかり飾った音では、疲れるだろう。それに例えば日常で我々がいつもリアルだろうか。日めくりの日常に、生きる実感などそうない。逆に妙な無機質の方がリアルだということもある。その虚と実の間、空の妙を奏でるところに吉田拓郎のリアルさを感じる。
啄木かるた
啄木のよく知られている歌が、吉田光彦氏の絵と融合して妖しい雰囲気をつむぎだしています。吉田氏は同じ岩手出身の作家高橋克彦氏の小説の挿絵や表紙絵で有名な画家ですが、このカルタはもう一つの素性、漫画雑誌ガロ出身者のニオイがプンプンしてます。カルタとしては厚紙のしっかりした作りで半世紀ぐらいは遊べそうです。惜しむらくはいろはカルタではないので仕方ないところですが、同じ音で始まる歌が多くあるので星一つ減じました。
パチンコがなくなる日―警察、民族、犯罪、業界が抱える闇と未来 (主婦の友新書)
この20年間にぱちんこ業界に起こった様々な事件を、細かい事実関係はもちろん、
その時の当事者間に存在したニュアンスまで伝える渾身のルポルタージュ。
筆者の意見を極力排除した内容であるため、ぱちんこ肯定派にとっても否定派にとっても
理論武装のアイテムを目の前にずらりと並べられた印象だろう。
読んで受ける感想は人それぞれだろうが断言できることがひとつ。
今後のぱちんこ業界に関するいかなる議論もここに書かれた事実を踏まえてからでないと
何の意味も持たない。