シューマン:詩人の恋
「詩人の恋」の歴史的名盤といえば、ディースカウとエッシェンバッハによる録音だろう。ディースカウらしい詩の感情をすこぶる全身で押し出すような歌唱であった。一方、こちらゲルネの歌いまわしは高貴な雰囲気である。ディースカウが演歌ならこちらは品の良いポップスといった感じ。清涼感に満ちる。アシュケナージのピアノは聴きものだ。このピアノを聴くだけでも十二分にこのディスクを買う価値はある。ところで並録されている「リーダークライス」は“異郷にて”で開始される有名な「リーダークライス」ではなく、ハイネの詩による別篇の「リーダークライス」である。
シューマン:歌曲大全集
再発売だが、とても貴重な全集。
全集となると演奏者にばらつきが出て、満足できないことも多いが、
CD9枚に渡って高水準を保った全集で、
シューマンの歌曲を知る辞書的な役割も果たす。
LP時代にはフィッシャー=ディースカウの9枚の全集版と
マティスの女性歌曲集、また数枚の重唱曲集に別れていたが、
再編集されて、曲集の順で通しで聞くことができるようになっている。
「ミルテの花」や「子供のためのアルバム」など、
声の質や編成が違うものも通しで聞くことができるので、
バラエティある流れに飽きることがない。
しかし、全盛期に録音したシューベルト全集、このシューマン全集、
ヴォルフ全集、R.シュトラウス、
またキャリアの終わり近くで録音したブラームス全集、
R.シュトラウス、リストと、
フィッシャー=ディースカウが成し遂げた偉業はすごい。
本当に価値あるもので、
発売されたときにしっかりと買いそろえておいた方がよいと思う。
マーラー:交響曲全集
8番「千人の交響曲」の第2部は、LPでは3面にわたりました。
ちょうど面の変わり目と思われる箇所(2カ所)で、不自然な音の空白があります。
マスタリングの問題だと思いますが、
全体の流れ、演奏が素晴らしいだけに、非常に気になります。
また、この巨大な楽章が、1つのトラックにまとめられているのも残念なところ。
名演を廉価で提供してくださるのは嬉しい限りなのですが、
とはいっても、もう少し手をかけてほしかった。
それにしても、この重厚壮大な作品群を、
深みと高揚感を保持しつつ、疲れさせずに聞かせるノイマンて、
やはり巨匠ですね。