リセット (新潮文庫)
この作品は、書評などで粗筋を見ない方が楽しめる作品と考え、このレビューには粗筋を記載しない。
「スキップ」・「ターン」に続く、「時と人」シリーズの完結編であるが、前2作との関連性はなく、この作品から読み始めても問題ない。
とはいえ、多くの読者が、前2作に感動してこの本を手にすることと思う。この場合、前2作と毛色が違う作品なので注意が必要である。この作品は、読者の忍耐力が試される小説で、緩やかに作品中の時が流れ、とにかく山場が来るのが遅い。私のようにテンポの速い小説を好む読者にとっては、睡魔に襲われ、何度も挫折しそうになる。私のような読者も、「本貸しのおばさん」が出てくるまでの作品の2/3を我慢してもらいたい。(第2部第2章5)後は、本を置くことができなくなるだろう。
忍耐力を擁する読者のみが、ホッとするような、心を安らかにしてくれるような、充足感を得られる作品である。
とにかく、我慢すべし!