冒険者たち 40周年アニヴァーサリーエディション・プレミアム [DVD]
「冒険者たち」は大好きな映画なので、テレビで放映されたり劇場で回顧上映が行われたりする度に観ていますし、旧版のDVDももちろん所有しています。しかし、その旧版が我が家のプレイヤーで再生されることはあまりありませんでした。画質が良くなかったからです。旧版は全体的に画面が暗くてノイズが多く、細部がつぶれがちだったため(特にジョアンナ・シムカス演じるレティシアの美しい顔がぼやけていたのは許しがたかった)、個人的には鑑賞に耐えませんでした。それでも作品自体が観られないよりはマシなので、これで我慢するしかないのかなあ、と諦めていたのですが、このたびリマスター版が新装発売されることになり、私のような旧版の画質に不満を持っていたファンでも満足して鑑賞できるようになりました。
このリマスター新版を再生した途端に皆さんもお気づきになるかもしれませんが、以前と比べて画面が明るくなり、ぼやけてつぶれていた部分がくっきりしました。リマスターと謳っている割には鮮明さは普通程度であるという印象を受けましたが、鑑賞時にストレスを感じることはありませんでした。また、この新版には尺が不完全とはいえ日本語吹き替えが収録されていますので、ドロン映画を吹き替えの洋画劇場で親しまれてきた方にとっても懐かしさを感じられるかと思われます。
アラン・ドロンの主演作には面白いものがたくさんあるのに、廃盤になって観られないものがいくつも存在します。そんななか、このような良心的な作りのDVDを発売して下さることはファンにとってたいへん嬉しいことです。メーカーの皆さまに感謝したいと思います。
メイキング・オブ 轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE 最強のプレシャス ゴーゴー! 素顔の冒険者たち!! [DVD]
出演者の生の声が聞ける(本編はアフレコなので)のはこれと、VS位なのでおすすめできるものです。本来なら星5つあげたいのですが、わずか30分でこの値段は高いのと、せっかくだから映画本編のおまけとしてつけてほしい(たとえ価格は上がっても)と思いますので、星3つにしました。
最後の冒険家
熱気球に取り憑かれた男、と言ってもいいのかも知れない。普段は町役場の学校給食センター長が本職ながら、熱気球での富士山越えを果たしたのち、神田道夫氏は人生の軸足を熱気球の記録更新に挑むアマチュア冒険家へと移し替える。日本における熱気球飛行の先駆者・市吉氏や、会社勤務の傍ら精力的なフライトに挑む竹澤氏と組んで次々と新たな記録に挑む神田氏は、ついに自作気球での太平洋横断を決心する。パートナーに選ばれ、共に死線を彷徨った石川氏の臨場感に富む記述はどこか少し歪だが身体感覚に忠実な“手作り”の趣に好感が持てる。ただ、読後感は多くの冒険譚がもたらしてくれるような爽やかさとはほど遠い。二度目の太平洋横断への挑戦に向けてただひたすら盲進し、周囲の助言にも耳を貸さず、素人目にも無謀としか言いようのないプランをごり押しした挙げ句、結局パートナーを見つけられないままたった一人で空へと昇っていく神田氏を、周囲は鼻白みつつ見送る。誰よりも生を謳歌しているかに見える冒険家の多くが必然的に死出の旅へと招き寄せられる皮肉を、自らも冒険家と呼ばれる石川氏はラスト数行の哀切な呼びかけに込める。未だ、返事はない。
「サムライ」/「冒険者たち」オリジナル・サウンドトラック
「冒険者たち」の公開にあわせて発売されたサントラは、4曲入りのEP盤だったとのこと。ここでは11曲、「冒険者たち」の、フランソワ・ド・ルーベの世界がたっぷりと楽しめます。アラン・ドロンが歌う「いとしのレティシア」、「海底への葬送」のクリスチャンヌ・ルグランのスキャットはもちろんのこと、テオ・サラボという歌手によるテーマ曲のボーカルバージョンまで聴ける(これイイです!!)。ブックレットには、フランスの解説の翻訳、映画のスチール写真、スタジオでのドロンとドルーベの写真などが掲載されています。ドロンがギター片手になんて写真も良いです。
「サムライ」は、静かで落ち着いた作風が魅力的です。映画の「サムライ」では登場人物の黒人女性ピアニストが演奏するところ以外は、あまり音楽は覚えていなかったのですが(何か沈黙の映画という印象だったのです)、ここに収められた10曲は映画を切り離して音楽としても楽しめるものです。解説によるとメルビル監督もたいへん満足していたとのことです。確かに音楽でメルビルの世界を表現しているようにも思えます。ボーナストラックとしてテーマ曲をリミックスしたものが2曲追加収録されています。