わが食いしん坊 (グルメ文庫)
獅子文六先生の本は食べ物関係しか読んでないですけど、何度読んでもも面白いです。
妙にフレンチ絶賛のところがあるけれども・・・・
何度でも読み返せる、買う価値のある本です!
北上次郎選「昭和エンターテインメント叢書」(2)大番 下 (小学館文庫)
この小説には表記の言葉が全部当てはまる。しかしそれでいて読後に味わう爽やかな印象は心に染みてくる。この小説が近年読まれてないというのは残念だ。
ただ株式市場や相場師などに興味がないと手に触れる機会は少ないかもしれない。
かなりの長編だが、読み始めたらぐいぐい引き込まれる面白さをぜひ味わってほしい。
実在の人物や愛媛県南部地域の昭和初期の貧困など知る人ぞ知るである。
精力絶倫の主人公をめぐる数多い女性たちの魅力も面白いが、特にヒロインである二人にしんみりと泣かせられる。
のちに東宝が加東大介・淡島千景・原節子主演で4部作が作られた。全部で8時間近い大作だが、原作をほぼ忠実に映像化しているのに驚く。また重要な出来事はニュース映画や新聞記事を挿入して昭和の歴史を振り返りながら楽しめるのも素晴らしい。黒沢や小津映画に並ぶ大作だとも思う。残念ながらこの作品は現存しない。私はある映画フアンが所蔵しているビデオを最近借りることができて、いま原作と映画を比較しながら楽しんでいる。
「バロン・サツマ」と呼ばれた男―薩摩治郎八とその時代
バロン・サツマの活躍は我々凡人には想像を絶するものがあります。単に好事家として見てしまうと明らかに誤りであることをこの本は気づかせてくれます。
美術、音楽、文学などなど極めて広範囲な分野で その才能の開花を待つ新進気鋭の芸術家との交流を見るとき バロン・サツマの芸術に対する端倪すべからざるセンスの切れを感ぜざるを得ません。 これは ともすれば我々が学歴という物差しで計ってしまう「教養」ではない 本当の「教養」とは何かをバロン・サツマが示しているということでありましょう。
フランスが 彼にレジョン・ドヌール勲章を与えたことは かの国がいかに文化、、芸術を高く評価し 「教養」を重視しているかの証左といえましょう。
このような「教養人」が かつて日本人にいたことを知らしめたこの本は 貴重でもありますし また このような日本人が出てきて欲しいものと思わせるものでもあります。