ザ・レジェンド オブ ストイコビッチ [DVD]
やはりストイコビッチが稀有なプレーヤーだということはこのDVDでも明らかですが、80年代からサッカーを見ているものには、レッドスター時代の彼のプレーが少なかったこと。なんといっても88~89チャンピオンズカップ(リーグではない。)のレッドスターVSACミランとの死闘は、もし霧がなくてミランが負けていれば、その後の黄金時代はなかったかもといわれる凄い試合として伝説になっているが、このDVDではカビラの「次々とファンタジーを炸裂させる」と期待させておいてたった1プレーしか見せてくれていない。しかし、このバレージをぶっちぎったドリブルシュートを見るだけでも彼がいかに優れた選手かがわかる。
彼が絶頂期を向かえたであろう25~30歳の間に、自身の怪我や様々な不運に見舞われたのはファンとしても本当に悲しい。もし順調にキャリアを積み重ねていれば、彼はマラドーナやクライフと並ぶ名声を得ていたはず。でも日本のファンにはラッキーでしたね。
引き裂かれたイレブン~オシムの涙~ [DVD]
オシムほど日本にサッカーへの取り組む精神と技を伝えた指導者はいなかったとおもいました。オシムみたいな政治家がいてもいい。オシムが伝えたかったイデオロギーをサッカーという媒体を通じてわかりました。オシムはもはや世界中の人からもとめられるコーチでありトレーナーだ。
悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)
ユーゴスラビア代表、ユーゴリーグ等のユーゴサッカーに関する取材を続けながら、ユーゴスラビアで起こっている出来事について書かれてあります。
特にこの時代のバルカン半島で混乱している様子がよく取材してあり、現地の生の声が分かります。
空爆当時のユーゴスラビアの様子などよく取材されています。
また、メディアの報道と戦争というものについても考えさせされました。
空爆当時のユーゴスラビアで何が起きていたのか、住民はどんな思いだったのかということが伝わってきました。
また、政治に巻き込まれることになったサッカー選手たちの話も考えさせられるものでした。
誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)
ピクシーことストイコビッチが、どれほどスゴいサッカー選手だったか?
私を含め、運良く彼のプレーをリアルタイムで堪能することが出来た者にとって
いまさら説明する必要はないだろう。
サッカーに詳しくない人でも、彼のプレーを一目見れば
「明らかに他と違う」ことは一目瞭然だった。
(もしピクシーのプレーを見たことがないのなら、本よりもDVDがお勧め)
「オシムの言葉」で、一気に注目を浴びたこの作家も、
ピクシーの超人技に驚いたサッカー素人の一人。
ピクシーのプレーから受けた衝撃をきっかけにして、
まだ危険の残る旧ユーゴスラビアへの丹念な取材を行い、
いまでは旧ユーゴサッカーのエキスパートである。
この本は、そんな木村元彦氏の実質的なデビュー作。
「その選手がいかに素晴らしいか」と言うことをこれでもかと訴える点において、
他の同類の本と一緒にされるかもしれない。
しかしながら、あきらかに同種の本には書かれていない感動がある。
その感動のきっかけは、残念ながらあまりにも酷な悲劇の数々だ。
祖国の崩壊、昨日までは友人だった民族間の対立・憎しみ、
理不尽な国際社会からの制裁、度重なる不運な怪我、
偏見から来る審判の不公平なジャッジ etc
しかし彼は負けない。
当初単なる気分転換での短期滞在のつもりでやって来た日本で、
超人的なプレーで我々の度肝を抜き続ける。
すっかり日本に馴染み、「真剣に日本人への帰化を考えた」ほどらしい。
選手としての凄さだけでなく、彼を知る誰もが尊敬することを止まない
人望と行動力の持ち主でもある。
ピクシーのような選手が日本で長期に渡ってプレーしたことは、
我々日本人のとっては、信じられないほどの幸運だと思う。
しかしそのきっかけは、彼にとってはこれ以上ない悲劇だった。
それを教えてくれるこの本から得られるのは、
何とも言えない複雑な「感動」なのである。