早雲の軍配者
主人公がひたむきで、友を大切にして、学問に秀で、心優しく…。と、さわやか青春ヒーローって感じです。
さらに自分を引き立ててくれる人たちの教えをよく聞き、期待に応えるべく努力し、精進する。ううむ、欠点がないぞ。
領民を守り、農民たちを幸せにすることを第一とする北条早雲の高邁な姿勢といい、早雲の教えを忠実に守る跡取りに部下といい、上司は理想を持つべしというリーダー論をみるようでもある。
読後感さわやかな、気持ちのいい読書ができました♪
続編で、山本勘助との対決編を読みたいものである。それはさわやかにはならないでしょうが…。
新装版 箱根の坂(上) (講談社文庫)
20歳代の北条早雲(伊勢勢新九郎)が,京都で足利家に仕えていたころから物語は始まり,
87歳で没するまでの60年間を,上中下の三巻で描いています。
40歳代に関東で名をあげる以前の早雲の前半生については,筆者の創作になっていることは,
あとがきで筆者自ら述べています。
従って,歴史の教科書の代わりになるような史実に対する忠実度はありませんが,
当時の時代背景がよくわかる内容です。現代の投影として過去を描くことなく,
当時の価値観,社会制度,言葉などを,丁寧に説明しています。
創作や伝承部分が多いとはいえ,北条早雲がリアルです。史実かどうかには関係なく,
早雲は,こういう人物だったんだろうと納得していまいます。
室町から戦国へ移行していく時期の,時代の息吹が感じられます。
武士の家訓 (講談社学術文庫)
色々な武家の家訓が収められています。
大河ドラマで放送された武田信玄の弟、武田信繁の家訓など、戦国時代に名を馳せた家が中心ですが、鎌倉の北条泰時の弟、北条重時の家訓なども載せてあり、なかなか面白く読めます。
厳しい世の中を生き抜いてきた人々が家訓として残すもの。
それが、人を出し抜くテクニックではなく、人としてのあり方がほとんどという事は、今の世の中に考えさせるものがあります。
ビジネス書や自己啓発書だけではなく、人としてのOSとも言うべきものの重要性を説く文章も、企業の経営で、また人生の上で参考になるのでは。