フンボルト理念の終焉?―現代大学の新次元
高等教育研究、特にドイツの高等教育に関し第一人者である著者により詳細に説明されていて読みやすい。
「フンボルト理念」はドイツの高等教育の基盤的な考え方とされていて、近代日本の高等教育がヨーロッパ型、特にドイツモデルを取り入れたことから、日本の高等教育においても基盤的な考え方となっている。しかし、ヨーロッパ型高等教育モデルからアメリカ型モデルに世界の趨勢が移行している中、「フンボルト理念の終焉」との書籍名は最近の著者の過激な傾向がうかがえる。
著者の詳細な説明により、結局のところ「フンボルト理念」自体に問題はなく、日本の高等教育において「研究志向」を正当化したい教員集団により「フンボルト理念」が曲解され展開されてきたのではないか、との見解に至った。つまり、フンボルトの考え方自体は、決して古びた過去のものではなく、教員が学生とともに研究活動を行うことにより学生自身の学びにつながるとの考えは、今どきの「Active Learning」の考え方と同じであるといえ、解釈に問題があるだけで念そのものには古さはないとの認識を得た。
その意味で、目からウロコ、の一冊ではないかと考える。
生き物たちは3/4が好き 多様な生物界を支配する単純な法則
細々とした事例の羅列に陥りがちな生態学の分野で、統一性や法則性を見出そうとする研究者にスポットライトを当てた本。
演繹的アプローチで眺める生態学の分野は、宇宙科学のような数の神秘に満ちています。
科学エッセイとして読むも良し、数学的に理解しながらじっくり読むも良し。
世界の測量 ガウスとフンボルトの物語
割と楽しく読めた。
フンボルトとガウスの物語が
各章で交互に展開していき、
最後に交錯し合っていく。
両者はどちらも
世界の真実を知ろうとしていたが、
方法が全く対照的であった。
フンボルトはガウスを
「あの哀れな人物は全く世界を見聞したことがないのだ」
と思っていたし、
ガウスは
「わざわざジャングルの中で悪戦苦闘しなくても、
真実を知ることはできるのだ」
と考えていた。
それでも二人には何かしら通ずるものがあった。
それは、
世界の真理への信念と情熱と探究心である。
彼らが生きた時代は、
未知なる世界に挑む人間の知性を信じて疑わぬ時代だったのだ。
しかし科学の進歩とともに、
様々な問題を抱え込んでいる今、
私たちは無条件に肯定してきた、
人間の知性や文明を考え直さざるをえない時代にいる。
改めて、「世界の測量」が何を意味していたのか、
考えなくてはならないと感じた。