イッツ・ア・ファクト
「世界初CD化」ということだそうである。今回のこのシリーズ発売に星五つである。82年リリースだから昔はウオークマンで聴いていたのだが、いまipodで聴いて少しも古さを感じないのは自分の耳が進化していないせいなのだろうか?それにしても1曲目のケニーゴーレリック。「ジェフローバー」といえばケニーG。洗練されたサックス、当時はおしゃれすぎて時代がついていけず、日本で彼がブレイクするのは数年後のことだった。ネイザンイーストのファンキーなリズムはどうだ。クラプトンのライブでも活躍するネイザンは、ジャコパスが死んだ年のクラプトンの公演で「お前のしるし」のベースソロをやっていたのを思い出す。ジョンロビンソンといえば、ルーファス。やはり若干ディスコ時代のにおいを放ちつつも、しっかりとしたリズムを刻む。ステファンガッドやハーヴィーメイスンではこのアルバムには不向きだったように思う。ゲストも多彩で、2曲目と5曲目ではトムブラウンが参加し、お得意のフレーズを聴かせてくれる。おっと、肝心のジェフローバーといえば、JLFの時からコンポーザーとしての才能をブリブリ出していたのは当たり前だが、このアルバムはとにかくセンスがいい。「フュージョン」の名をはずしてソロになったのも先見の明かもしれない。最後に。元の音源がよかったこともあるだろうが、このCDの音質はアナログ音源とは思えない良質なものである。それがまた、時代や古さを乗り越えてしまった要因ともいえる。
ハロー・トゥモロウ
Marcus Miller全面参加。MarcusはN.Yの対岸に引っ越したって話を何年か前に聞いたけど、ここできたっすか。
一聴、ものっっっっすごい違和感。だけど嫌じゃない。いやむしろ好きかも。アルバムのベースとなる作曲とCo-Producerには、Brian Culbertsonを持ってきて、その楽曲の表現の幅をMarcusが受け持った、という感じにもとれる。
一番気持ち悪い、いや気持ち良かったのが、Jeff Loberプロデュースの"11"。Jeff Lorberサウンドデザインに、Marcusのベースが乗ったSmooth Fusionなんて、そこの聴いていないアナタ、想像出来ますか?
また、アルバム全体を通しては、静か目な曲が多い訳ですが、Koz自身や、CulbertsonのR&B好きもここに極まれり、なナンバーのオンパレード。そして最後に、亡くなったWayman Tisdaleに捧げた1曲で、ac-gを弾くのはMarcus Millerという、でもでも全体を通して聴くと、初心者にでもわかり易いSmooth Jazzという、わけのわからなアルバムで、Marcus Millerのサウンドソースには、影にLuther Vandrossさえ垣間見える気もします(30年近く"Fusion"を聴いてきたレビュワーもちょっと混乱しています)。
ヤバいです。ちょっとこのアルバムは聴き込む必要がありそうです。ヘビロ決定です。
ライヴ・アット・モントルー 1996 [DVD]
実は動くジェフ・ローバー氏を観たくて購入したのですが、ハーブ・アルパート氏の貫禄にガツンとやられましたね。いきなり「ライズ」。ヒット曲をアンコール用に演奏することはよくありますが、冒頭、意表を突かれました。
ツボを押さえた大人の音。思わず泣きが入ります。それに寺尾あきらとクラプトンを足して2で割ったような氏の風貌。もうシブイ男の哀愁がムンムンですよ。素晴らしい。いい買い物をしました。