つぐみ [VHS]
牧瀬里穂さん主演、原作はよしもとばななさんの初期のベストセラー「TUGUMI」です。これもDVDになっていません・・・。
海辺の小さな町の古い旅館が舞台です。
開発による旅館の閉鎖間際という最後の夏休みに、従姉妹(中嶋朋子)がつぐみの町に帰ってくるところから物語が始まります。
つぐみの恋人になるのは開発側の社長の息子(真田広之)。
病弱な暴君のつぐみが切れて障子をやぶくところや、お風呂のなかでウクレレで歌「きりんのダンス」?を歌うところが印象的です。
相手役が真田広之というのはちょっと年齢があわないような気もしますが、ほかのキャストはいい感じです。
原作の雰囲気をおおむねおさえている感じです。
初期のころの牧瀬さんかわいくて大好き。前髪ぱっつんとまっすぐにきってあって、大きな目に棒読みのせりふ。乱暴ではっきりとした口調。
アンバランスな魅力です。
「幕末純情伝」も面白いですよ。
一億三千万人のための小説教室 (岩波新書 新赤版 (786))
著者の人となりを知る者にとっては読む前から想像に難くないと思うが、本書はハウツー的な小説の書き方を記した本ではない。著者はまえがきの部分で「小説家は、小説の書き方を、ひとりで見つけるしかない」と論じている。
では、この本が扱っているのは何かというと、「自分のまわりに広がる世界の見方」なのではないだろうか。人間にもっと「遊び」の部分があれば、世界はもっと面白く見えてくる。著者が小説の書き出しまでで、本書の内容を留めたのも、そこまでに至るプロセスこそが重要だからであり、それは人の「生き方」にも通じる部分があるのだと感じる。本書を通じて知識や技術を得たいと考える人にとって本書ほど無意味な作品はないかもしれないが、少しの遊び心されあれば、きっと素敵だと感じられる作品である。
由美香 コレクターズ・エディション [DVD]
知り合いの女の子が本作のファンだというので、林由美香の追悼上映で観たけどなるほど傑作だった。「電波少年」なんか屁でもない前人未到の冒険ドキュメントだし。しかも元々はAVだし(笑)特典映像が60分も入ってるし(やはり追悼上映で観た続編的短編『愛しのAVギャル』も秀作だった)、ブックレットも200ページ近いようで、製作サイドの深い愛情が感じられる。意外にも初DVD化とのこと。今から到着が楽しみな1枚です!
ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け [DVD]
この映画、一般的には殆ど知られていないが、好みは分かれるものの、好きな人にはクセになる不思議な魅力を放つ作品。
「さようならギャングたち」ら、高橋源一郎の3つの小説から構成された物語だが、本筋は至ってシンプル。舞台は、世界を股に掛けて掠奪を繰り返すギャング団が次に襲撃を予告したとあるBAR、マスターは名腕のボディガードたちを雇い応戦するが、、、。
全編一幕物で展開する演劇的な空間、台詞、手法、約束事に映画的技巧がミキシングされたような感覚だが、とにかく破天荒で奔放、ポップなイメージに溢れている。
ソフト・フォーカスされた何処でもない何処かの“夢”の世界で興じる記号化された登場人物たち。これが凄い、ちょっと挙げてみようか。
ビリー・ザ・キッド、宮本武蔵、マルクス・エンゲルス(かの有名な経済学者ふたりの合体)、サンダース軍曹(コンバット!ね)、中島みゆきらがボディガードとして、ハリー・キャラハン(ご存じ、ダーティハリーね)、ブルース・スプリングスティーン、レオニード・ブレジネフ(かってのソビエト書記長)らがギャングとして、それ以外にも金子光晴、イエス・キリスト、POPEYE誌(笑)らが登場。因みに、彼らの溜まり場であるBARの名前は、“スローターハウス”。
演じるのも、映画界から原田芳雄、石橋蓮司、戸浦六宏。新劇界から細川俊之、北林谷栄。小演劇界から三上博史、塩野谷正幸、神戸浩(マルクスを追う特高役、共演の原田芳雄をして驚愕させたあの台詞回し!)ら多数。学生映画出身者として室井滋、内藤剛志。ヴァラエティ界からラサール石井、三宅裕司、小倉久寛。音楽界から鮎川誠、ゼルダ、ヒカシュー。その他高橋源一郎、日比野克彦、浅葉克巳、栗本慎一郎ら文化人に、忘れちゃいけない美しきファム・ファタール真行寺君枝(シャーロット・ランプリング役!)と、正に、多種多彩としか形容できない賑やかな顔ぶれ。改めて観直したけど、みんな、若い!
作り手たちが最も楽しんでいるようにも思えるが、高橋文学のエッセンスを生かしながらの知的スノッブの遊戯的試み。80年代サブ・カルチャーと当時のPARCO的文化に興味、郷愁を感じる方には特にお薦め。
沈む日本を愛せますか?
内容を云々する以前に、インタビューアーが出しゃばりすぎて非常に不快です。
内田・高橋両氏の旧友のような口調、自らも鼎談参加者のような態度。
仮に実際の旧友だとしても、インタビューアーのふるまいではありません。
インタビューアーは渋谷陽一氏なる本書の出版社社長のようですが、
著者と編集者は一線を引くべきだと思います。
読者は渋谷氏の見解ではなく、内田・高橋両氏の知見を知りたくて本を購入しているわけですから。