Of Queues & Cures
イギリスのジャズロックバンド、ナショナル・ヘルスの2nd。1979作
Hatfield and the Northのデイブ・スチュワートとフィル・ミラーを中心に結成された、
カンタベリーシーンのスーパーグループ。そのの2作目にしてラスト作である。
ジャズロック的な軽やかなリズムの上に、クラシカルな素養を感じさせるデイブのオルガン、
シンセワークが鳴り響き、そこにセンスあるギターフレーズが重なって、じつに優雅で
メロディアスなサウンドを構築してゆく。1作目に比べていっそう肩の力が抜けたような
自然体のアンサンブルが、むしろテクニカルなフュージョン的な味わいで楽しめる。
個人的には女性声入りの1stが好きなのだが、完成度ではこちらも勝るとも劣らない。
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ブランドネームへの”信仰”とも呼べる感情のために”唯一の神”の手によるものをクローンニングするのは”神への冒涜”とする考えもありますが(特に吉野家の牛丼のファンなど)、神の神秘に参入し自らを高めるのもひとつの”信仰の形”ではないかと思いますね。そこにピタッと来ちゃったのがこの本!願わくば、Yoshinoyaがアメリカで広くその名を知られ、トッド・ウィルバー氏の興味に到達する日が来ることを切にお祈りします。Yoshinoyaの御国が来たらん事を。アーメン!
オブ・キューズ・アンド・キュアーズ(紙ジャケット仕様)
78年発表の2nd。ベースがニール・マレイからジョン・グリーヴスに交代。管弦奏者を適材適所に配した楽曲が並んでいる。ピーター・ブレグヴァドがヴォーカルで、ジョージー・ボーンがチェロで参加するなどヘンリー・カウ人脈の流入も音楽的におもしろいと思う。楽曲も前作では大半がデイヴの手によるものだったが、本作では新加入のジョンのものを含めてミラー、ピップも曲を提供している点がポイント。音楽的には更に複雑になり難解な部分もあるが、まだオーラのような魅力は残っており、無視するには惜しい仕上がりである。
美しいストリングス系シンセをバックにシンセ・ベースがリードを取る1.の導入部にはびっくりするものの、すぐに彼ららしい演奏に変化。かなり人懐っこいメロが登場して彼らの初期の雰囲気を思い出させる。2.ではスティール・パンが登場する。良い意味でこれほどトロピカルに響かないスティール・パンも珍しい。3.はめまいがするほど複雑な展開を見せる曲。ミニマル的な要素もあり、かなりソフト・マシーンに近い印象もあるが、ミニマル以外の現代音楽の影響も強く感じられ、彼らの到達点とも言える凄まじい演奏が聞き物である。4.のギター・ストロークも彼らにしては非常に珍しい演奏であり、ほんわかとした雰囲気が心地よい。5.の牧歌的なヴォーカルとその後に登場する美しいフルートのソロにはハットフィールズを思い出さずにいられないだろう。
前作でゲスト参加していたアラン・ゴーウェンはこの時期ギルガメッシュを再編してアルバムを発表しているが、本作発表後デイヴがブラフォードに引き抜かれたため、ナショナル・ヘルスに呼び戻されてグループの活動を継続したものの、81年に白血病によって亡くなりグループは解散した。何となく彼の死によってその後のカンタベリー・ミュージックは大きく衰退していった気がする。
ナショナル・ヘルス(紙ジャケット仕様)
イギリスのジャズロックバンド、ナショナル・ヘルスのアルバム。1978作/紙ジャケリマスター盤
Hatfield and the Northのデイヴ・スチュワートとフィル・ミラー、GILGAMESHのアラン・ガウエンを
中心に結成された、まさにカンタベリーシーンのスーパーグループともいうべきバンド。
軽快なリズムの上を、デイヴのオルガン、ガウエンのシンセが鳴り響き、テクニカルなインストを聴かせつつ
途中にはしっとりと美しいピアノに女性ヴォーカルも入ってきたりと、展開力も見せつける。
クラシックの要素もあったEGGをさらに優雅に繊細にしたという雰囲気もあり、
ジャズロックとしての名作という以上にメロディアスな美しさがあるのが素晴らしい。