大地の歌(紙)
デビュー・アルバム"PostCard"以降2年以上という当時としては異例の長いブランクをあけて1971年10月に発売されたセカンド・アルバムです。有名な通りポール・マッカートニーが先導したポップス路線がメリー・ホプキン本人の望む方向と違ったこともあり、この作品ではポール・マッカートニーと決別し本来の望みであったフォーク・スタイルを追求した作品で、本人によると自身の「ベスト・アルバム」とのことです。
歌のテーマは「白樺」「太陽」「大地」「風」「水・紙・粘土」「海」などというように自然崇拝であったり、内省的な内容であったり、非常にフォークらしい内容です。バック・アップにペンタングルのダニー・トンプソンなどが参加しブリティッシュ・フォーク色の強い音楽になっています。非常に地味ながら自然体で作られており好感が持てるアルバムで、ビートルズ・ファンとしてメリー・ホプキンに注目する人には不要の作品かもしれませんが、個人的にはとても好きな作品です。
なお、ライナーによるとミッキー・モストがプロデュースし頓挫したセカンド・アルバムのためにジェームス・テイラーから"You’ve Got A Friend"が、エルトン・ジョンから"Your Song"を提供されていたとのこと(いずれも当時未発表だったそうです)。メリー・ホプキンの意図するサウンドに合わなさそうな曲ですが、でも聴いてみたいですね。いずれ発掘されないかな・・・。
ところで「明日を生きよう」は「夢を潰そうとする"you"に抗う」という内容の歌詞ですが、経過を見ているとこの"you"がアップルやマッカートニーであるように思えて仕方ありません。
ベスト・オブ・メリー・ホプキン
ほぼ四半世紀ぶりにメリーの歌声を聴きました。感無量です。いまの曲と比べて編曲がシンプルで、はじめは物足りなさを感じましたが、しばらくたつうちに、これぞメリーだ!と、「現役」当時を思い出しました。これほど純粋で透明な歌声のシンガーが、イギリスにいたのだと、再認識させられました。
アルバムは、前半がヒット曲、後半が殆ど知られていないフォークソングと、二面性をもち、メリーのスナップ写真やシングル版レコードのジャケットが数多く収められているほか、現役当時では語られない、メリーと曲の解説があり、メリーのファンには十分満足できる内容と申せましょう。
私の8歳の豚児も、「ケ・セラ・セラ」を口ずさんでいます。