モンゴル帝国の興亡<上> (講談社現代新書)
本書『モンゴル帝国の興亡』は、漢語やペルシア語等、多言語文献を駆使してなされた最新のモンゴル帝国研究である。従来のモンゴル帝国研究が、いかに西欧中心史観、中華史観に基づいていたかがよくわかる。高校世界史で習ったことがボロボロと崩れていくようなある意味で心地よい感触を持たされる。
上巻では帝国の黎明期であるチンギスの勃興から、クビライの台頭までを描く。帝国拡大の過程が鮮明に描かれており、臨場感を持って一気に読めてしまう。また、一国史の集積としての世界史という視点が近年批判にさらされつつある中、本書における「グローバルヒストリー」としてのモンゴル帝国史という視点は非常に興味深い。歴史が好きな方にはぜひ薦めたい名著だと思う。
チンギスハーン 蒼き狼と白き牝鹿 4 パワーアップキット
この手のゲームにあるように、最初は臨場感があり楽しいものの
後半は大兵力と優秀なゆにっとによりかなり暇となってしまいます。
特に内政で学術などの数値を上げれば天才的な将軍が簡単に
入れる事から、後半かなりバランスを崩してしまいます。
基本的には面白いゲームですが、もう少し難易度があればいいかなと
思います。
世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫)
昔々、岡田先生の講義を受けたことがありますが、そのスピードについていけない!と悲鳴をあげそうになりました。
この本もそうです。普通の人間には、ついていけそうにもないスピードで世界史が語られます。
「あれ?この話はどうしてこうなるんだ?」ということはしょちゅうです。
岡田先生はわからんものにはわからんでも良いと思っていらっしゃるのか、とにかくついて行くのに必死になります。
固有名詞などは、「こんな国や人はしらないぞ!」と叫びたくなります。だからこそ勉強になるのですが。
いずれにしても、岡田史学という言葉があるくらいです。普通の歴史学者とは役者が違います。
岡田先生については、近頃中国との話ばかりが取り上げられるようですが、もっと広い視野にたった業績を上げている方だと思います。
蒼き狼 地果て海尽きるまで ナビゲート ~史上最大の帝国を築いた男 チンギス・ハーン~ [DVD]
スケールが大きく、ストーリーにも深みがあって、いい映画を見たという実感が得られました。
反町隆史が演じる蒼き狼に終始釘付けになりました。
それから、モンゴルに生きる女の悲しみを知りました。
女とは快楽の対象か子を産む道具・・・という台詞がありましたが、日本の国会でおんなじようなこと言ってたおっちゃんいましたね。 演技力のない俳優さんもちらほらいて、台詞を棒読みする大根役者にはがっかり。
過去に世間を騒がせた女優さんは、いい仕事をしてました。
墓標なき草原(上) 内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録
NHK・BSに「心の旅」というシリーズがあった。偶々眼にしたものは、少年時代を内モンゴルの日本人居住地域で送った初老の作家の物語である。彼は、中国化されて、共産党の政治スローガンの掲げられた集落や、微かに記憶のある草原を歩き、父母と過ごした戦前の日々を回顧する。そして、最後にクライマックスが訪れる。二度と会えないと思っていた幼き日のモンゴルの友人が現れるのである。思わず、あふれ出る涙。涙。抱き合う二人。「日本は二度と侵略しない」と誓って、番組は終わる。これまでの例から言えば、この「友人」は党が選抜した優秀な演技者・証言者である。外国メディアに対する常套手段である以上、NHKの担当ディレクターが知らなかったことはありえない。むしろ、担当者は演出に必要な作家の個人情報を流している。こうした作為まで、「日中友好」だと考えている可能性がある。
「内モンゴル」「ウイグル」「チベット」。中国共産党に解放された喜びの表情。熱烈な毛沢東万歳。中国に取り込まれ、便宜を与えられた平山郁夫が描いた、少数民族世界に於ける貴族たちの奴隷虐待とそれを解放する健康で清潔な八路軍兵士たち。
だが、国共内戦、人民公社化運動、反右派闘争、文化大革命の間に中国全土に起きたことが、「内モンゴル」や「ウィグル」「チベット」で起きなかったとしたら、それはまことに奇妙なことだ。しかも、内モンゴルはかつて日本が勢力圏にしていた地域であり、日本語教育によって高度に知的なモンゴル人たちが住んでいたところなのだ。
楊海英氏は、「内モンゴル」に起きた文化大革命における漢民族のモンゴル人大虐殺の記録を掘り起こす。氏は、「まだ、平静にはなれないのだ」と断りつつ、内モンゴルに起きた事件の数々と数万人の死者の記憶を、あふれ出る涙を抑えつつ、抑制された声で語り伝えようとする。