夜になるまえに [DVD]
キューバ・カストロ政権下で迫害された作家レイナルド・アレナスの一生を追ったもの。
芸術家・知識人たちは政治の敵とみなされ創作活動もままならず
逮捕され文化的に抹殺される。そんななかレイナルドは自身の小説をどうにか刊行しようと海外に持ち出して出版したりと。
いくら抑制されようと思想は死なないんですね。
近代南米史について不勉強な僕には本当は有史以来続いてきたであろう文化抑制というテーマが新鮮というか斬新というか、そんな風に感じてしまいました。
何かを作ろうとしている人にはオススメです。
また、この作品の裏テーマはホモセクシャルだと思われます。
ジョニー・デップのオカマ役が観れるのもこの作品くらいです。
夜になるまえに【廉価2500円版】 [DVD]
主人公がゲイである、くらいの予備知識しかありませんでしたが、
ストーリーが進むにつれ、
その壮絶な生き様に圧倒されました。
まるで「バッド・エデュケーション」のガエル・ガルシア・ベルナルのように。
でも、こちらは実在した作家。
今でこそ、チェ・ゲバラなど、当時のキューバ革命についての情報も人々が知ることも多いですが、
実際に迫害を受けていた人々の側の視点からの作品。
人間が、人間らしく生きるには、なんと困難が付きまとうものか。
陳腐な言い方ですが、時代という波にもまれ、それでも信念を貫き通し、
やがて病魔に蝕まれて亡くなって行く。
それが自然の摂理であるかのように、
冒頭からの自然の風景のカットのなんと美しいことか。
緑、川、海、・・・すべてがあるがまま。
レイナルド・アレナスもきっと、そうやって「あるがまま」生きたい、そう願っていたのでしょう。
テーマがテーマだけに、ちょっと気楽には見れないな、とは思っていましたが、
いったん見始めたら、途中で止めることはできませんでした。
物凄い迫力。
満点です。
ショーン・ペンがよかったなぁ。
夜になるまえに
共産国家では、国民は監視する側とされる側に二分される。監視される側は、カンボジアが典型だが、虐殺されることもある。殺されないだけ、生きていけるだけ幸せという状況が待っている。こうした狂気の国家は、ソ連から始まり、中国、北朝鮮へと続く訳だが、そうした国で作家がどういう運命を辿るのか、一種の典型例としてこの本は教えてくれる。今もなお、キューバや北朝鮮では国民が奴隷労働させられているのか、と考えると、一人の体験談だが、読後感は余りにも重い。
夜になるまえに ― オリジナル・サウンドトラック
ずっと見損なっていた映画を相当遅れて、やっと観ました。ジュリアン・シュナーベル監督作品3作中ではベストだと思いました。そして、音楽もベストでした。
特にキューバン・ミュージックのファンではありませんが、絶妙な陽気さと哀愁のミックスチャーは、当時のキューバを音楽自体が映画の主題を物語っていて、素晴らしい!
単に、あの映画に対する選曲が良かっただけかもしれませんが・・・。
逆に、音楽は音楽で完全に独立したパワーをもっており、音楽を聞いても映画のシーンを思い起こさせない。
通常映画は、映像と音楽が表裏一体になっており、どちらかが欠けると、どちらかだけだと、その両方の「マジック」が失われる。
何度も、それには失敗した経験があり、今回は成功!でした。
映画の内容と同等にその音楽も優れていたと思います。
そして、原作も読みましたが、敢えてあの作品を映画化したシュナーベルを監督として尊敬します。おそらく、一作家として原作者に対する深い共感と愛情があったからできたことでしょう。
その深い思いが、音楽に至るまで徹底的にこだわったことが伺える一作そして一枚です。
夜になるまえに―ある亡命者の回想 (文学の冒険シリーズ)
美しい海、生きている悦びを味わった故郷。しかしカストロの独裁によって祖国に踏みにじられた青春とその才能。
とても辛い人生を書きながら、アレナスの言葉は読む者に弾けるような感動を与えます。キューバという国がアレナスの感性を育て、苦しめた。読む者に自由というものを考えさせる最高の自伝です。この感動は読まないとわからない。アレナスを知ること、とても貴重な体験になるに違いありません。