紅の豚
風の谷のナウシカ以来、宮崎駿監督と久石譲さんがタッグを組んだ5作目のサウンドトラックになります。前回の「魔女の宅急便」のときに、それぞれの曲のクォリティの高さといい、全体のバランスのよさ、構成の素晴らしさといい、アルバムとしての高い完成度を見ましたが、今回の作品では、従来に比べて曲数が多めのため、単なるBGM集になっていないか、少し不安を感じてしまうところ。けれども、映画本編と見事にシンクロした音楽は、見事な仕上がりになっています。もちろん、その分、サントラ単体で楽しむファンには、いささか冗長な感じがしてしまい、そこが残念ではありますが、どこかノスタルジックな心地よい旋律が満足感を十分もたらしてくれるに違いありません。たとえば、「5. セピア色の写真」「15. アドリアの海へ」は、小品ながら久石さんらしい秀作。特に「16. 遠き時代を求めて」は、前半から後半に移る瞬間のものすごく澄んだ旋律がとても印象的。映画本編では、ホテル・アドリアーノの上空に戻ってきたポルコを見て、ジーナが遠く青い日々を思い起こす場面に使われていました。一方で、天空の城ラピュタの「愉快なけんか」を思わせる「17. 荒野の一目惚れ」のような楽しい曲や、「19. 失われた魂 -LOST SPILIT-」のような不思議な曲もあり、加藤登紀子さんによる名曲「23. 時には昔の話を」にいたるまで、決して聴いているものを飽きさせない、充実したアルバムになっています。ちなみに、「23. 時には昔の話を」の編曲を菅野よう子さんが手がけているところが、サウンドトラック好きには何とも興味深いお話です。
帰らざる日々 [DVD]
「帰らざる日々」は、ある一定以上の年齢を経た者たちにとって、過剰にセンチメンタルと切なさを感じさせる映画だ。
ここで描かれているのは、誰もが身に覚えがあるようで、それでいてどこにも存在しない青春。
友情、セックス、年上の異性への憧れ、夢、未来への希望、不安、大人への不信、怒り、鬱屈、焦燥、そして挫折。
正に、青春期の断片と呼べるこれらのステレオタイプ化されたキーワードが盛り込まれ、しかも、主人公自身が、ある出来事を契機に故郷の田舎町へ帰省する中で“18歳の夏”を回想していくとの作劇が、まるで、映画を通じて、それぞれの青春期をオーバーラップもしくは疑似体験させてくれるようで、観る者を感傷的に誘う相乗効果を上げているように思えてならない。
自分は、この映画で描かれている青春とは全く違う高校時代を過ごしたけれど、この懐かしさとセンチメンタリズムは、今も共鳴出来る。
ロマンポルノ路線をひた走っていた日活の、年に1度の一般映画として製作された今作は、永島敏行、江藤潤、浅野真弓、竹田かほりに、中村敦夫、中尾彬、朝丘雪路、吉行和子、根岸季江、小松方正、草薙幸二郎、丹波義隆、加山麗子等、その意気込みを感じさせる豪華出演陣。そう言えば、この後、浅野は柳ジョージの、竹田は甲斐よしひろの奥様になったんだよね。
キネマ旬報78年読者選出ベスト1に輝いた傑作。当時、主題歌を使われたアリスの谷村新司は、歌のイメージと映画が違うと怒ったらしいが、いいじゃない。この名作と共に、歌も映画ファンに永遠に記憶されていくだろうから。
アリス ストーリー [DVD]
「そう言えばこんなのもあったなぁ」…ってことで購入してみました。
未見だと思い込んでいたのですが見覚えが…。
記憶を辿ると、30年程前に、地元の会館で「アリス・フィルム・コンサート」なる催し物があり、『栄光への脱出 アリス武道館ライヴ』との2本立てで上映していました。
それはさておき、内容ですが、なんと申しましょうか、タイトルからはドキュメンタリーの様なものを連想しがちですが、そうではないですね。
ビデオ・クリップ集でもありません。
ショート・フィルム(ストーリー性はありませんが)に楽曲を合わせた様な感じでしょうか。
とにかく3人とも若い!
髪型や服装から、おそらく『さらば青春の時』の頃かと思われます。
「実力派・アイドル・フォーク・グループ(笑)」的な映像で、こっ恥ずかしい場面もありますが、若々しいアリスの映像は非常に貴重です。
なお、映像・音声ともにノイズが目立ち、お世辞にも「高画質・高音質ソフト」とは言えません。
しかし、このソフトに関しては、Blu-reyは勿論のこと、リマスター版DVDなどは望めません。
重複しますが、非常に貴重な映像ソフトですので所有価値はあると思います。