Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies
現代の平均的なヨーロッパの白人と平均的なニューギニア原住民とどちらが頭がよいか?と聞かれたら、皆さんはどう答えますか?著者のダイアモンドは、ニューギニア人がヨーロッパ人よりも一般的に頭がよいとする強力な理由を2つ挙げています。
人間は知らぬまに固定観念を育てていくものです。良い本とは誤った観念、理解を根底から揺さぶり読者の眼を醒ませてくれる本です。本書はとても良い本です。多岐にわたる学問分野の最新の研究成果を踏まえてユーラシア、アフリカ、南北アメリカ、オーストラリア各大陸に根付いた人類社会の発達のありようを13,000年というスパンの中で考察し、夫々の社会はその置かれた環境の力によって基本的な枠組み(食料生産の有無、非農業従事者の有無、社会階層の発達具合、技術革新とその受容・拡散の仕方等など)が形成されたものであり、人種間の知能や諸々の能力の差異とは一切無関係である(というかそんな差異は存在しない)ことを十二分な説得力をもって説明しています。この本1冊で新しい研究分野を切り開くほどのインパクトがあります。こういう本には滅多にお目にかかれませんよ。是非ご一読を勧めます。原文は専門的な語彙が多いことを除けば、平易に書かれており極めて読みやすい本で、小生はこれをテキストに大学生に英語を教えています。
小生61歳になりますが、中学1年の日本史の授業でまず習ったのは、現生日本人がどこからのようにして日本列島に住みつくようになったのか、詳しいことはまだ分かっていない、ということでした。それが今では大体のことが分かるようになりました。近年の古代人類社会研究の進展は目覚ましいものがあります。花粉化石の分析による古気候環境の解明、現代人の細胞に含まれるミトコンドリアや男性染色体のDNAの比較分析に基づく過去10万年の現生人類のアフリカから各大陸への移動過程の解明、その他言語学、考古学、医学、生理学、動物学、植物学など幅広い分野がお互いを補完しあって、過去20年で驚くほど多くのことが分かるようになっています。
本書の出発点を全世界の人間が狩猟採集民だった最終氷期末期(11,000BC)に据えることが出来たのも、その時代を総合的に把握するツールが揃ったからと言えます。本書のプロローグではアーノルド・トインビーの大著、歴史の研究を評して、人類史上最も意味のある変化は文字に書かれる以前に起きており、有史時代に視点を絞ったトインビーでは世界的な歴史のパターンを把握出来なかった、と批判しています。まことに同感ながら、一世の碩学トインビーと言えども彼の時代には、考察すべき確たる材料がなかったのでしょう。本書は1998年のピューリッツア賞の受賞作で、既に最新ではありませんが、最近の学問研究のおかげで、出るべくして世に出、長く読まれるべき本と言えます。
ところで、今の世界が今あるようになった理由は本書で解き明かされた、でもそれがどうした?という読者も多数いるでしょう。そういう方には同じ著者の手になる Collapse (邦題名 文明崩壊)を引き続き読むことをお勧めします。こちらも眼からウロコが落ちます。
ところで、気になることを一つ、本書への批判的なレビューとして嘴細鴉さんの評が掲載されています。
このレビューは二つの点で不適切と考えます。第一にこの評者は全文を読んでいません。途中で投げ出してしまった本のレビューを書くのは正しいこととは思えません。また、この評者は著者の考えを完全に曲解しています。どこを読んだらこの本が、姿を変えた白人優位主義の産物になってしまうのか、理解に苦しみます。本書のプロローグには極めて重要な考えがいくつも出てきますが、この評者はそれを理解していないようです。誰がどの戦いに勝ち、誰が偶々何かを発明した、といった瑣末なことは論じないと予め著者は断っているのに、ヨーロッパ世界とモンゴルの衝突が論じられていないから、本書はダメ、というのはあまりにお粗末。著者のいう歴史の広いパターンを見損なっているのです。建設的な批判は大いに結構。でも悪意と誤解に満ちた批評のおかげで、読むべき人がこの本を読まなかったら、それは非常に嘆かわしいことです。嘴細鴉さんの評は削除されてしかるべきと考えます。
All the Best
とにかくこの二人、RTLという民放テレビ局の成立成長とともに売れまくった。ドラッグストアでも1枚3ユーロ(400円)で売っている。ドイツのごつい兄ちゃん二人が、ファラセットで、それもあくまで英語で歌うところなんぞ、時代を感じさせますが、曲はいまでもなかなか新鮮。そもそも自分たちで歌っていない、人に歌わせている曲も多く、ミュージックメーカーとしての実力が溢れまくり。とくにディーター・ボーレンは、その後もプロデューサーとして大活躍。
よくもまあ、これだけ次々と作って、それもみんな当てたものだ、というくらい、曲の処理がうまい。これなら、そりゃ、当たるよ、と思わせるものばかり。ノリがいいのが多いから、かけっぱなしでも、飽きないベスト。近年、マーク・メトロックに歌わせている「ユー・キャン・ゲット・イット」も合わせておすすめ!
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
インカ皇帝は何故ピサロ率いるたった168人のスペイン部隊に敗れてしまったのか。また、そもそも何故、アメリカ大陸を征服したのは旧大陸(ユーラシア大陸)のヨーロッパ人で、その逆ではなかったのか。オーストラリア原住民のアボリジニは何故石器時代から抜け出せなかったのか。アフリカは人類発祥の地であるにも関わらず何故暗黒大陸に陥ってしまったのか。
これらは歴史を勉強した人は誰でも感じたことがある疑問だろう。そして一般的な結論は白色人種がその他の人種より優秀だからといった人種間の優位性に落ち着くことが多い。正直言って自分の中にもモンゴロイドは手先が器用で頭もいいといった先入観があるのは事実だ。
しかしながら本書では文明発展の決定要素は人種ではなく環境だと結論付ける。文明が最も発展したユーラシア大陸とその他の3大陸における、人間の食料となる植物、家畜となる大型動物の分布状況の差と、東西に広がるユーラシア大陸と南北に広がるアフリカ・アメリカ大陸の地相が、文明の発展にいかに決定的な影響を与えたのかを、豊富な事例を用いて判りやすく説明してくれる。
約400頁の本書には人類の歴史に関して、中学・高校の教科書では習った記憶ことがない情報がこれでもかと詰め込まれている。例えばタイトルのGERMS(病原菌)とは何を意味するのかと疑問であったが、文明の発展と病原菌が密接に関係していると知って驚いた。
普段はこの手のアカデミックな本は滅多に読まないが、本書に関しては読後に知識欲が満たされた充実感があり、大ヒットな一冊であった。
GERMS 狙われた街
今までの中で一番やる気をなくしたゲームです。でも、今までの中で一番求めていたゲームでした。
なんせ、自由度の高いゲームです。ストーリーはどうでもいい、仮想世界をうろつきたいという方にお薦めかな。
ただ、一人称視点のゲーム(DOOM系。でなければサイレント・エコー系)で、町とダンジョンを探索するのだけど、町の背景はグレー一色な上、自分以外誰も歩いていないところが寂しい。レストラン(ここはちゃんと人がいる。)で食事ができたり、車に乗れたり(操作性悪い)、電車に乗れたり(無人)、武器屋で武器を買ったり、と何でも出来るところが魅力的かな。あとダンジョンは、攻撃してもありえないほど外れる。
以上のことを承知の上で私は二回目の購入をしました。