State of Fear
マイケル・クライトンの作品は殆ど読んでいるが、本書は面白さではジュラシック・パークには劣るものの、本書が提起している問題には別な意味でそれ以上の衝撃を受けました。
本書のテーマは地球温暖化です。これについては、新聞・マスコミで既定事実として連日のように取り上げられているが、実は科学的裏づけは乏しくて、我々は科学者(大学)、マスコミ、政治によりそう思い込まされているだけのようです。
地球温暖化以外にも環境保護の名の下で膨大な資金を投じて行われた政策が、失敗に終わり、逆に発展途上国の健康状態を悪化させるケースや、環境保護を唱える人々の勉強不足や偽善振りがこれでもかと描かれており、環境保護運動に対する痛烈な批判書となっています。
小説でありこれをそのまま鵜呑みにするのは危険だとは思いますが、現代人はかってない豊かさと安全を手に入れているにも拘らず、マスコミや学者らにより「恐怖の状態」(State of fear)に陥らされているのかも知れません。
そう思って新聞・テレビを見ると環境保護問題以外でも、今、マスコミでセンセーショナルに取り上げられている、子供に対する犯罪、住宅欠陥問題などに対しても我々はあまりこれに踊らされることなく、冷静に判断を下す必要があるのではないかと思います。
堅苦しいことばかり書いてしまいましたが、マイケル・クライトンの作品だけにスリル・サスペンス小説としても一級品でお勧めです。
An 極度なスリラー Tino Georgiou 著~~The Fates
キャベツ畑のサンマ
テレビで映像にあわせて流れているのを見ましたが
不思議な歌詞と不思議な映像、
そして奥田民生の遊び心あふれる音楽。
サビ(?)部分の節回しはユニコーン以後の民生節全開で
不思議な浮遊感、または陶酔感が残ります。
なんだかなんだか耳に残る音楽です。
カップリング曲はyou tubeで話題になっていた「赤とんぼ」。
シンディ・ローパーの前で披露したというだけあって
本人の代表曲というような堂々とした仕上がりとなっています。
ぼくは猟師になった
作者の千松君は「恵まれているなあ」というのが率直な感想でした。
それはつまり、祖父母や父母の豊かな愛情を受けて育ったということ。
すばらしい才能と人間性をもつ師匠と友人に出会えた、ということ。
それに、自分の天職を自分の力で見つけられた、ということ。
今の30代で、自分の仕事に誇りをもち、それを人に勧められる人間がどのくらいいるか、正直心もとないのではないか。
この本では千松君が自分の人生を、そりゃ紆余曲折、失敗もあったけど、自分の力で開いていく様が、すごく心地よかった。
何よりも、自分で開いた道なので、狩猟生活について自分で責任を負っていて、
他人に対して「狩猟生活が一番」というような押しつけ感が全くないのがよかった。
だから他人がこの本と同じ生活をそのまま真似ようとしても無理だろう。
この本の肝は、何というか、謙虚さというか、自分と周りとの関係を素直に聞き入れる姿勢ではないだろうか。
最近、自分で道を切り開く努力が足りないのに「自分は頑張っているのに社会や他人が受け入れてくれない」と逃げ口上を言い、
そのくせ、安直にマニュアル本に感化される風潮に、嫌悪を感じる。
千松君と人間関係や生活環境が全然違うのに、同調して「自然のなかでの生活が一番」と言うのも、一種の社会逃避にすぎない。
そうではなくて、自分の今の生活のなかで「自分が生かされている」と知り、
自分を生かしてくれている身近な人や物の存在を知ることが大切だと、この本から教えられたような気がする。
ワールド・エンド [DVD]
B級ディザスターパニック映画みたいなジャケットですが、作品自体はいたって真面目に作られたドキュメンタリータッチのドラマでした。西暦2075年、人口は100億人にも上り、地球温暖化の影響による同時多発的な自然災害により水没してしまった都市も多数。そんな世界で生きる人々の姿を描いた作品で、なかなか興味深い内容でした。
特に印象深かったのは、仕事を求めてヨーロッパへ向かった黒人の二人組です。彼らは砂漠を越えてようやく都心部に辿り着くわけですが、そこでヨーロッパ経済にとって役立つかどうかのテストを受けさせられます。職に就くための最大の条件は、何より従順であることで、それに見合わなかった黒人の一人は難民キャンプに入れられてしまいます。職を求めてヨーロッパにやって来る人は黒人ばかりで、いつの時代になっても黒人の扱いは変わらないか、と感じてしまいました。
その他の人物のエピソードも割と見応えがあるし、CGなども丁寧なので最後まで飽きずに見れると思います。この映画で言っていること全てを真に受けるのはどうかと思いますが、いろいろと考えさせられることがあるので、たまにはこんな作品を見てみるのもいいんじゃないでしょうか。
シャングリ・ラ 限定版 第1巻 [DVD]
(総合5.5/10点)
第一話「少女帰還」★★★☆☆6/10点
崩壊した東京の舞台もさることながら、
炭素排出量が為替相場のごとく経済を左右する描写、
直接対話による不和の批判が秀逸でした。キャラデザ、動き、
アングルの魅せ方共に高水準で最後まで安心して観ていられます。
相変わらず「はいてない(インナー)」へのこだわりには苦笑いでしたが。
第二話「池袋樹海」★★★☆☆5/10点
三つ巴の組織形態、地上の荒廃した大気など、世界観の説明を
前回から引き続いて牽引している印象が強く、まだまだこれから。
見た目はアレでも意外や意外。中田譲治演じるモモコの粋な性格、
頼りがいのある人物像には非常に好感が持てます。ナイスキャスティング(笑)
金と権力と治安、欲に塗れてますね〜。