たけくらべ 現代語訳・樋口一葉 (河出文庫)
一葉を読みたいのだけれど、独特の擬古文はあまりに読みにくくてしり込みをしていましたら、現代語訳の文庫本があると知り飛びつきました(笑)。やはり文章のリズムなどの味わいは、原文を読まなければわからないので、そちらも読むつもりですが、一先ずは現代語訳で内容をあらあら把握できてとても助かりました。
天才ってこういう人を言うのだよな〜、と心の底から唸らされる嬉しいひと時。紫式部、清少納言、与謝野晶子と並べられる理由がわかります。素晴らしい写実。鋭い人間洞察。世の中の片隅で、人生に苦しみ悩む様々な立場のひとびとの心が本当に見事に描かれています。作家としての力量とともに、その潔い、澄み切った詩人としての覚悟は、20代の若い女性とは思えません。
多くの作品の中で人間の悲しい運命を写し取りながらも、その作品が決して感傷に堕さないのは、自らが地に足をつけ、詩のこころを持ったまま濁世の只中で生き抜くことを是とし誇りとした、一葉の逞しい信念のためではないでしょうか。
一葉は女所帯の頭として生活と苦闘し、世間から侮られて悔しい思いも沢山しながら作品を発表していく。社会問題にも関心を持つ。生きることに断じて背は向けない、その神々しいまでの凛々しさに、同性として最敬礼の思いがします。もっと若い女性に読んでほしい作家です。
にごりえ [DVD]
明治おんなの生き様を、古い話として看過するのはたやすい。
けれど、生活であれ、恋であれ、夢であれ、秘めた情念のあり方
に時代の移ろいは無いものと知れる。
ほぼ樋口一葉の原作どおりにすすむ「にごりえ」の、杉村春子は
どうだ。白髪の老女役しか知らなかった私には、日本にこんなに
うまい役者さんが昔からいたのか、というため息をもたらす。
白黒邦画はほとんど擦り切れビデオの見回しなので、文化的価値と
してのDVDは貴重品ですらある。
たけくらべ (集英社文庫)
樋口一葉作品は、この集英社文庫版ではじめて読みました。正直、明治文学を読めるかどうか不安だったのですが、この本はとても優しいです。
まず最初の4ページに、一葉ゆかりの写真や絵が掲載。そして本編の前に梗概がついてる優しさ。漢字にルビがつき、1ページ1ページずつ下方に説明文が書かれています。最初は慣れないかもしれませんが、文章を理解しやすい形態で、私には嬉しかったです。
それに余白の遣い方!
他の出版本では、文字を隙間なくぎっちり詰めているので、台詞も地の文も判別に難しく、正直苦しい印象です。でもこの本では台詞を独立させ、セリフ終了後に余白をもたせた為に、言葉が活きているような感じになっています。
「誰も憂き世に一人と思うて下さるな」
この台詞も、地の文に埋もれる事なく活かされています。文字をぎゅうぎゅうに詰めていたら、私はこの本を読まなかったでしょう。余白の活用に、編集の心理的余裕が、この本を私に読ませるきっかけになりました。
第一印象で《難い》と思ったら、樋口一葉離れしていたでしょうね。
最初の掴みに《名作!》と心に響かせるこの出版物に出会えたのは幸せでした。
私はこの本に、最大級のエールを送ります。
一葉恋歌
石川さゆりの待望の『艶歌』の新曲『一葉恋歌』が発売された。
この曲は明治の文学作家、樋口一葉の一生を歌った歌である。
一葉は24年間で生涯を閉じたわけだが、一体どんな人物だったのだろうか??
この歌を聴くと明治に生きた一人の女性としての一葉の切ない女心を感じ取ることができる。
何よりも歌詞の言葉が美しい。そして、さゆりさんも日本語を大切に丁寧に歌おうと心がけているのでより僕達の心に響く歌が歌えるのだろう。
今年の石川さゆりの勝負曲、ぜひ聴いて欲しい。さて、カップリングの「でくのぼう」は最初はジャズ調でしっとり始まるが後から転調してノリノリになる楽しい楽曲だ。
さゆりさんも楽しんで歌っている様子が目に浮かんでくる。今回のシングル、2曲とも全くタイプが違うがどれも今の石川さゆりの歌なのである。音楽を楽しんでいるということはこういうことなのではないだろうか???一聴する価値はあるだろう。