こめぐら (倉知淳作品集)
期待通り、楽しめました。
ネット上の某所で話題だった短編「Aカップの男たち」(傑作!爆笑)目当てにまずこっちを買いましたが、
近々「なぎなた」も読みまーす。ボートラの猫丸先輩モノを読んだ感想は、やっぱりキャラ的に短編が似合うな、ということでした。
現在のところ彼が登場する唯一の長編「過ぎゆく風はみどり色」は読後に味わえるカタルシスに満ちた名作ですが、
肝心の猫丸が要所要所でチラッとしか出てこないあたりがその辺を如実に物語ってると思います。
まーどんな形であれ、倉知さんにはまた「星降り山荘の殺人」のようなド本格を書いてもらって読者をアッと言わせて欲しいものです。冷蔵庫が空になる前に・・・。
日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)
倉知淳デビュー作。別名義で商業誌初登場の『競作五十円玉二十枚の謎』で既に登場していた猫丸先輩の短編集。
一つ一つの物語が、トリックも素晴らしいのはもちろん、ちょっといい話あり不思議な話ありで、非常に面白い。また、探偵役である猫丸先輩というのは性格はハタ迷惑だわバイトの内容に脈絡がなくて何にでも首を突っ込む人のため、毎回毎回意外なところから登場してくれる。「アレ?猫丸先輩がまだ出てこないぞ?いつ出てくるの?」と心配になる頃に出てくるので、できたらこのページの商品レビューもあらすじ紹介さえも何も読まないで、「いつ」猫丸先輩が出てくるのかを楽しみに一作一作読んで欲しいところ。
また、物語だけではなく、本自体にしかけがあることが巻末の短文でわかる。しかも!!!これで終わりかと見せかけてもう一つ・・・・・・
ええ?ええ?こんな終わり方じゃ、こんなに面白い猫丸先輩のシリーズは一冊で打ち止めなの??と心配していたら、やっぱりそんなことはありませんでした。他に2冊短編があり、初長編『過ぎ行く風はみどり色』まで出ているじゃあありませんか。
是非是非、猫丸先輩の奇特な日々にお付き合いを。
星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
雪に閉ざされた山荘で起きる殺人事件。
内容的にはよくある話だが、この小説の変わっているのは各章の始めに「主人公が登場する」だの「探偵役が登場する」だのとその章がどういった章なのかを簡単にまとめた但し書きの様なものがある点だ。
読者にフェアに挑戦した作品ということで、かなり細かく読んだのですが、最後の最後でどんでん返しが待っています。
ラストまでくると「あれ?」と思った後に「ああなるほど、そういうことね」と妙に納得してしまいました。
叙述トリックではありませんが、そっち系が好きな人にはお勧めの一冊です。