警察の誕生 (集英社新書)
著者は、明治大学理工学部教授、専攻はオーストリア文学。
著書は、「ハプスブルク家の人々」「神聖ローマ帝国」など、
中世ヨーロッパを舞台にしたものが多い。
警察組織の興りは、17世紀のパリとするが、
その前時代である17世紀前半といえば、リシュリュー枢機卿、
つまりは、「三銃士」の舞台となった時代である。
三銃士と主人公ダルタニャンは、ルイ13世の銃士隊として
活躍しており、フェンシングのような細い剣、短銃、そして、
大きな帽子に羽根飾りだ。
彼らの活躍は、至って警察的ではなく、国王の私的な
近衛銃士隊なのであり、お妃の浮気を隠したりと治安とは
まったく違うことをしていたように思う。
日本では徳川時代がスタートした時代である。
著者は、この時代をパックス・トクガワーナと称していたが、
面白いじゃないか。
徳川治世の警察組織は、予算規模が現在の4億円程度と、ないに
等しく、自警がメインだったのだろう。
村八分という言葉があるのだが、村の嫌われ者として烙印されると
葬式・火事以外は助けてもらえないのであるが、残りの中には
自警は含まれない。
当時の庶民の暮らしの中には、守るべき財産はさないといえたから
警察などは必要なかったのかもしれない。
話をパリに戻すと、大そうな不潔な社会だったようである。
下水道はないに等しく、王宮にはトイレもない、用をたすにはおまるを
使っていたらしい。マンション住まいの住人は、窓から捨てることが
あり、女性を連れて歩くときは、女性が建物に近いところを、
男性が道路側をあるき、女性に被害が出ないようにしたそうだ。
銃士隊の時代が終わり、いよいよ警察組織が誕生した際、
民衆は「ありがたき」警察組織を諸手で受け入れた。
治安、モラルの向上、清潔な街に警察組織は貢献したためだ。
また、当初警察組織は、下層な人々を取り締まるのではなく、
富裕層などの特権階級を徹底してとりしまった。彼らの
特権が犯罪者の隠れ蓑として機能していたことを警察が
見落とさなかったのだ。
都市部では自警団を形成するだけのコストの負担をいやがったのかも、
地域のつながりが薄くなったことで、自警できなくなったのかもしれない。
軍隊が国家間の争い事にあるのなら、警察は、個人間の争いを
防ぐことで活躍した。自警、自衛が主であるところが、警察が介入する
ことで、自衛の必要がなくなると精神的、武器などが不要となる
コストの低下は、予想以上に民衆にとって居心地が良かったのであろう。
警察力が増し、密告化や、プライバシーの侵害、冤罪などが横行し、
それが打破された後でも、民衆は警察自体を否定することは
なくなったのだから。
警察がルールを厳守させるだけではなく、当世の経済のあり方と密接に
関わっていたというのは、現在の感覚ではわからなかったことであろう、
特権階級を打破した警察力も揺り戻しの中で政府と強く結びつき、
また、権力者とも強く結びついていくこともあった。
幾多の失敗を経験を経て、警察は、地方自治の象徴となっていく。
民衆の安全を保障する代わりに、政府は税金としての対価を要求する。
王制からの脱却は、警察という力で、実現してきたの
かもしれないのだ。
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BSで放送されたショートフィルム形式のホラードラマ。。。一話5分。。。。
全99話。。。。。。
ふぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜む。。。。何とも表現しづらいドラマ。。。。
こんなん初めて!!!!!w
さすがにこれだけの話があると正直???ってのも多かった!
ただ、夜中に部屋の電気消して観てると怖い話もあったことは確か!!!
ただ落ちが分かっちまうと繰り返し観る気は起きなくなるね!
ってわけで買って正解とは言えない一本(一箱)!!!
まあ、ラストが???ってのも多かったし納得するために繰り返し観てみるのも良いかも?w
第4シーズンの黒川芽以は中々魅力的に演技していた!
実力はあると思うのだがイマイチブレイクしないのはなぜ?
ちょっと残念!!!!w
あと、製作者側の自己満足が見え隠れしたのがイマイチだったな。。。。(苦笑
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グルーグ抒情曲は、このポブウォツカ全曲集、ギレリス選曲集、館野泉選曲集の3つを持っていますが、このポヴウオッカの演奏が一番素直で丁寧です。一音ずつ丁寧にうたうように弾いていて、抒情曲というに、もっともふさわしいと思う。ギレリス版には、もちろん煌めくような演奏があります。
レンブラントの夜警 [DVD]
「コックと泥棒・・・」でもそうであったようにこの監督の目指すものは
究極の美。
自身インタヴューで語っているように絵画の美を映画化するとこのようになるという映画を作りたいそう。 なるほどこの映画の全てのシーンが息を呑む美しさ。
危険で陶酔の匂いのする 毒のある美しさ。
物語のプロットもややこしくこんぐらがっていて、映像の美しさと相まって
見ているうちに自分が生きている時代がどこかわからなくなる。
R-15指定が付いていましたが、どこのシーンが問題とかではなく、映像と物語のこの究極のからみを 理解できる年齢で と言うような気さえしました。
小さなアート系シアターでしかきっと上演されないでしょうが、芸術性の高い作品だと思います。
夜警 (双葉文庫)
真面目に夜警を務めている栄田雄一郎の前に一人の少女が現れるところから物語は始まります。
彼女が幽霊だと言うことが解り、いくつかの望みを叶えて貰いますが、そこから彼の周りがいろいろ変化してきます。そして、いくつかの「死」が・・・。
それぞれの人間のエゴが絡み合い、人間の持つ「業」のようなものが、やがて人の「死」をもたらします。
人のちょっとした決断が他人に及ぼす影響について、普段は気にもとめません。しかし、程度の差こそあれ、他人に影響を与えているものなのですね。
多くの登場人物が絡み合う展開はいつも通りですが、少女は天使なのか死神なのか、謎を抱えつつスピーディに展開し、いつも以上に読ませてくれます。気楽に読める楽しい一編です。