歪んだ権威 密着ルポ日本医師会~積怨と権力闘争の舞台裏
「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(歴史学者J・E・アクトン)のは、政治だけではなく、組織レベルでも当てはまる。そのためか、日本医師会長の選挙は政権党の権力争いにそっくりである。本書は、元新聞記者が、政局そっくりの医師会長選挙戦の裏側を描いたものである。
日本医師会が時の政権に直結し、開業医を中心とした医師の利権を拡大してきたのは隠れもない事実である。ただ、建前は「国民皆保険を守るため」「医療のレベルを維持するため」などというのを忘れてはいないが。医師が特に権力争いが好きという訳ではないだろうが、開業医として金と名誉が得られると、一部の医師は権力争いに熱中するものらしい。医師会長というポストは、金と名誉の他に、17万人の医師会員の頂点に立ち、潤沢な資金を思うままに使って権力を振るえるオイシイもののようだ。
日本の医療が、医療崩壊、高齢化に伴う医療費高騰、財源問題など、山積する問題を抱えているのに、自らの利権拡張と身内の権力争いに熱中している組織が国民から見放されるのはやむを得ない。その兆候は既に現われているようである。
御家騒動―大名家を揺るがした権力闘争 (中公新書)
御家騒動、江戸時代におきた幕藩体制の中での御家騒動を、時代の全体を通して紹介した作品。
ほぼその時期の御家騒動を網羅していて読み物としてはおもしろい。
しかしながら、あまりに幅広く取り上げすぎて多少表面部分しか、という感じはしましたが、当時の主従関係、またその時代変遷を理解できました。