井上成美 (新潮文庫)
阿川氏の海軍大将三連作のうち最後のもので、派手さは一切
ない読み物ですが、井上成美の名前だけは聞いたことはあっても、
どのような人物であるかほとんどど知らなかった自分にとって
目を開かされる思いの一冊でした。
井上が日米開戦前から「南方諸国を侵略して資源を
盗ってはいけない。資源がほしければ商取引をすればよい」と
現代人と全く変わらない考え方を持っていたこと...。
山本五十六が日米開戦前、当時の近衛首相に問われて、
「とうしても闘えと言うならば、海軍は一年ぐらいは
闘って(暴れて?)ご覧にいれます」と答えたことに対して、
「どうしてはっきり『海軍はアメリカとは戦争できません』と
答えなかったのか」と批判したこと...。
今となっては言ってもしかたがないことですが、
井上成美が日米開戦前に首相であったならば、
真珠湾攻撃は行われず、太平洋戦争もなかったのではと
思わずにはいられません。
太平洋戦争や日本の近代史に関心を持つ方は、
一度読んでみるといろいろと面白い発見がある
一冊であると思います。
きかんしゃやえもん (岩波の子どもの本)
年をとって、くず鉄にされそうになった「やえもん」。どんなに年をとったって、古くなったって、この世の中には役に立たない物なんてないんだよね。どこかで、きっと役に立つこともあるんだよね。東京の交通博物館に行って本当の「やえもん」を見た時の息子の感激した様子。10年以上たった今も忘れられません。