Empire
待ちに待った新譜ですが、一枚目とはかなり雰囲気が違います。
一枚目はデジタル色が強かったのですが、今作はドラムの打ち込みもしっかりして、
骨太になったというか、音に厚みが生まれています。前作より迫力があります。
それと同時にカサビアン独特の病み付き感は健在。
シングルのEmpireはもちろん、2曲目のShoot the Runner、8曲目のStuntmanなど、
かなり踊れるナンバーも相変わらず収録。ついリピートしちゃいます。
10曲目のBritish Legionでは今までにない顔も見せてます。UKロックに特徴的な
哀愁メロが印象的。
ラストのThe Dobermanは民族音楽のような強さと悲哀、けだるい雰囲気が入り混じっている。
こんな才能もあったんだ!と、彼らの成長を感じさせる一枚。
まぁ、二枚目出すまでに時間かかりすぎでしたけどね…
ルナティック・アサイラム(初回生産限定盤)
最高。カサビアンは唯一無二。もはや彼らと並び立つ存在は無い。1stはビッグ・ビートやヒップホップと電化プライマルの折衷、2ndはより肉体的でごった煮のスタジアム・ロックだったが、今回のカサビアンはそのいずれも遥かに上回る過去最強のモードだ。怪しくサイケな闇鍋サウンド(でも音数は2ndよりもだいぶ減っている)をベースにしながら、マッシヴなビートはそこにダンス・ミュージックの熱狂を、サージのギターはロックンロールの鋭い切っ先を宿らせ、強烈な全能感を振りまくトムの野郎ヴォーカルは、そのまま勝利宣言となって響いてゆく。そんな中に差し挟まれるメロウなアシッド・フォーク風味ナンバーの数々も素晴らしい。それらのおかげで、聴き込める作品になっている。
仮にオアシスが最新鋭の前衛サウンドに挑戦しても何かアレだし(聴いてみたいけど)、レディオヘッドが今更スタジアムな合唱メロディーをしたためたところで違和感バリバリだが(これも聴いてみたいけど)、カサビアンはその両側面を突き詰めてゆけるだろう。その可能性と力量を備えているロックバンドは、広く見渡してもカサビアン以外にいない。そういった意味で、彼らはオンリーワンだ。
West Ryder Pauper Lunatic Asylum
よくKASABIANについて、不穏なグルーヴと言われてるが…。
個人的にそれは違うとおもう。古臭いのか新しいのか、なにがしたいのかよくわからなくて、怪しくて、へんてこりんな香りは全体から伝わってきます。最近のUKはこーゆーの多い。
ある意味予備知識無しで、CLUBFOOTの延長線上かと思って買うにはちと危険。
なのでKASABIANの音楽はかなり取っ付きづらい部類に入ると思ってます。
ですから即効性はありません。この手の音楽は長く聞き込めば味がでてくるもんで、 逆に即効性がありすぎるとすぐ飽きてしまいます。
結局長い目で見れば、とっつきづらい音楽のほうが個人的にはうれしいんですが。
聞き込む前に嫌いだ!って言う人も多いはず。そういう人はすぐに売り払うことはしないで、CDラックの片隅にでも、埃被らせて、忘れた頃にでも、たまに聞いてみてください。
なかなかの良盤だと思います。