ドラキュラ [DVD]
この映画大好き。この値段なら買いですよ。買わなくちゃ。
コッポラといえば「ゴッドファーザー」に「地獄の黙示録」って感じですけど、
この映画は、どちらかというと「フィニアンの虹」とか「ワンフロムザハート」
に連なる作品。映像がカラフルで、遊び心にあふれている。
怪奇シーンの演出が100年の映画史をなぞるように施されているのだ。
ものすごく楽しいんだけど、二つだけ残念な点がある。
まず、この映画怖くないのだ。
公開当時、原作に忠実っていう歌い文句だったけど、原作のドラキュラって
人としては描かれていない。ペスト=天災として描かれている。
だからドラキュラの訪れる街は死の街と化す。その様子が、
なんともおぞましいのだけど、映画では、人ならぬものになってしまった者の哀歓が
クローズアップされている。
もうひとつ。ゲイリー・オールドマンもアンソニー・ホプキンスも素晴らしいんだけど
クリストファー・リーとピーター・カッシングに遠く及ばない。
演技力は申し分ないんだけど、怪奇映画に必要な威厳というか雰囲気が足りないのだ。
原作に忠実という意味では、ヘルツォークの「ノスフェラトゥ」のほうがスケールが大きいし、
怪奇映画としてはハマープロ、テレンス・フィッシャー版が断然素晴らしい。
怪奇映画ファン、原作ファンにとっては、物足りない。
ちょっと違う方に行ってるんだな。
だから、星ひとつマイナす。
この映画の不思議なところは、原作と異なる雰囲気で、怖くもないんだけど
面白いっていうところ。うまく説明できないけど、やっぱりコッポラって、
すごい監督なんだと思う。
このあとの「フランケンシュタイン」も、コッポラが撮っていればなあ。
ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) 新潮文庫
ローマ人の物語、文庫版第3巻では、カルタゴとの戦争を描く。第一次
ポエニ戦役だ。
アフリカ大陸北部を本拠とする強国カルタゴと、かなり大きく成長してきた
ローマ。まずは、シチリア島の攻防である。
なぜ、強大なカルタゴと全面戦争に突入するに至ったのか、そして、シチリアを
めぐる戦いは、どう進んだのか、わかりやすく書かれている。
急遽、即席の海軍をつくることになったローマの奮闘ぶりがおもしろい。
「陣形も組めてないじゃん」と海上でカルタゴに笑われるありさま。
でも、ローマは、「海でまともにやりあったら負けるから、相手の船に
乗り移って、陸上の戦いみたいにしてしまえばいい」と考え・・・
大嵐で遭難したり、カルタゴ軍の象にふみつぶされたり、とぼろぼろに
なっても、それに着実に対処していく様子が見もの。
ローマは、自分たちのダメだったところなどを、ちゃんと克服していくのだ。
自分たちのやり方を確立しつつ、状況に柔軟に対応したからこそ、勝てたのでは
ないか?
ローマとカルタゴの一進一退がおもしろく読めて、塩野さんのローマへの
愛情も感じられる本。
字も大きく読みやすい。
羊たちの沈黙 [Blu-ray]
ハンニバル・レクターは、やはりどんな映画の悪役にも勝る怖さ!
冷静で物腰も優雅だけど、瞳の中の狂気をひしひしと感じる。
監獄からクラリスを見つめる瞳は、背筋がゾクっとして、だけど引き込まれる。
アンソニー・ホプキンスの演技はまさに圧巻。
ブルーレイで画質がキレイで明るくなって、ますますレクター博士の瞳が深い。
クラリスもキレイ。DVDのときよりキレイに見えるのは、
やはり画質が明るくなったから?肌がすごくキメ細やかに見える。
ジョディ・フォスターの初々しい姿やトラウマをかかえる影のある演技も上手い。
ブルーレイの鮮明な映像で、ますます怖さや不気味さ、
犯人の生々しさがより具体的に映し出されて、
ブルーレイで見直したのは正解だった。
ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) 新潮文庫
ハンニバル戦記の最終章です。名将ハンニバル。突如現れたカルタゴの奇才は、ようやく地中海世界に頭角を現してきたローマ共和国を翻弄する。
そして、苦難の月日を過ごす彼らに、ようやく救世主スキピオが現れる。ハンニバルの弟子と後世呼ばれるスキピオ。
ハンニバル戦記での重要な第2次ポエニ戦役は、ローマ共和国に多大な犠牲をもたらしたが、それが結果的には、ローマ共和国を地中海沿岸地域を支配する覇権国家へと成長させることとなった。
ローマ共和国の滅亡を願ったハンニバルだが、結果的にローマ共和国の巨大化に加担してしまうこととなった。歴史の流れは、奇才ハンニバルと言えども、抗うことは出来ないものであった。
祈り~あなたがいるから
06年のドラマ『氷壁』の主題歌「彼方の光」が入っているCDを
探し、アルバム「彼方の光~Welcome to Libera’s World」にしよう
か迷いましたが、収録時間が長く最新のこちらのアルバムにしました。
比較したわけではないので、どちらがよかったかはわかりませんが、
ともかく今回のアルバムすばらしいです。
08.12現在の最新ベスト・アルバムで、うち二曲は新曲。
一曲目の「あなたがいるから」は「彼方の光」とおなじ日本人の
作曲家・村松崇継による曲で、来年一月公開予定の映画『誰も
守ってくれない』の主題歌です。
「彼方の光」に感動した人にはこちらの曲もお勧めします。
悲しみを浄化するような曲想で、この映画とても見たくなりました。
G線上のアリアなどクラッシックの名曲も多く、どれもがボーイ・
ソプラノの響きが抜群にすばらしい。特に英語やラテン語、意味が
わからなくても人間の発する言葉の美しさに心打たれます。