二畳で豊かに住む (集英社新書)
著者は、空襲で家を失い、三畳(実質二畳)の家で家族と暮らした内田百'閨A東京のアトリエを戦争で焼失した為、岩手県に狭い山小屋を建て、創作活動に励んだ高村光太郎、原爆で自宅を失い、如己堂と名づけた二畳の家(実際はもう少し広い)で家族と暮らした永井隆、二畳の下宿で予備門時代を共に過ごした、夏目漱石、中村是公、そして、カリエスの為六尺の病床(布団です)で創作活動をした正岡子規について述べています。しかし、1.住人の意志 2.友人、村人、精神的支援者の存在 3.空間的には狭いが精神的な豊かさが無ければ、充実して濃密な空間にはなりえないと考察しています。
そして、多摩川渡船場としての二畳の小屋(移動可能だった)、お遍路たちの夜の宿として使われたお茶堂(おおよそ六畳位の広さだったらしい)についても述べています。
もちろん歴史に残る物や、著名人だから取り上げたのだと思いますが、私が小さい頃(団塊の世代です)は、日本もまだまだ貧しく庶民は、狭い家に住み、六畳あるいは四畳半の間借りで家族が生活することもそうそう珍しい事ではありませんでした。そして、日本が経済的に繁栄し生活が向上するにつれて、住居は大きくまた車も大きく(特にバブル期位から)、そして生活も随分贅沢になってきました。そして、今度の不幸な大震災、大津波です。原発事故で電力が不足し、節電、節約が叫ばれています。いたずらに生活の向上を求め少し贅沢に走りすぎた我我ですが、是を契機にスモールイズビューティフルという言葉もありますし、住居も過度に大きくせず、車も出来るだけコンパクトにしガソリンの消費を抑え、節電に努め、過度の贅沢をせず(世界的に見ればまだまだ日本は大量消費国です)身の丈にあった生活をしていかなければならないのかなと思います。しかし、貧すれば鈍するという言葉もありますから、心の豊かさまで失わないようにしないといけないなとも思います!!この本を読んで、こんな事を考えました。