ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 完全版 [DVD]
一流のギャング映画であり、ミステリー映画であり、ノスタルジー映画である本作は、レオーネ監督の入魂の「遺作」だ。ユダヤ系ギャング達の友情と裏切りに彩られた一生を、少年時代、青年時代、壮年時代と時間を交錯して行き来しながら、ロマンたっぷりに描く3時間半、その時間経過にどっぷりと身を委ねることがレオーネ映画を見る醍醐味だ。デ・ニーロの演じる青年期と壮年期の哀愁に溢れた描写もいい(35年ぶりに逃避行から帰ったバス・ターミナルで、年老いた顔が窓に映るシーンに「イエスタデイ」が流れる場面は最高)が、少年期の友情を描くシーンはどれも甘美で秀逸だ。これがあるからこそ、「思い出さえも失う」という後年の裏切りと復讐の残酷さが胸に迫るのだ。「アマポーラ」が映画全体のテーマ曲になっているが、パンフルートを主体にしたモリコーネの音楽も極上。仲間を密告し、アヘン窟へ逃げ込んだデ・ニーロの回想から始まり、ラストはアヘンに酔って微笑むデ・ニーロのアップで終わる。この長い長い物語は結局アヘンの夢だったのか?という謎賭けで終焉を迎える。この複雑で知的なアプローチを台無しにして時系列で編集し、レオーネを失望させたというアメリカ公開版もちょっと見てみたい気がする。
SILENZIO~海の上のピアニスト
イタリア映画の音楽の美しさをピアノにじっくり歌わせたアルバム。深夜にしんみり聴いてください。映画のワンシーンが、思いで深く瞼にうかぶのは私だけではないと思います。
ヴィジョンズ
最初の曲の最初の音を聴いただけで
ただごとではないものに接しているという緊張感を覚える
ストルツマンのクラリネットの音は、
内省的で、聖書の詩篇の一節にでも
耳を傾けているような気になる
選曲は、モーツァルトの晩年の傑作「クラリネット協奏曲の第2楽章」
もあれば、映画音楽もあるし、ポピュラーソングもある
バックのアレンジは原曲に忠実だけど、
どれを聴いても、
しーんと心に響いてくる彼の音色に包み込まれていく
『古楽の旗手たち』という本に彼のインタビューが掲載されている。
「私は小さい時から、クラリネットらしい音というものが
好きではありませんでした。
様々な人の、歌手の、人間の声が好きだったのです。
クラリネットで素晴らしいのは、
音が空気の中から出てくることです。
コンサートで演奏する時、どんな弱音でも
ホールの最後尾に座っている人に
きちんと届くようにコントロールしています」
などなど、彼の演奏が独特の楽器のくわえ方、
呼吸の仕方に支えられていること等が
具体的に話されていて参考になる
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ [VHS]
丁寧に作られている映画だ。子役と大人の俳優の顔立ちまでそっくりなのにびっくり。何度もみればみるほど、新しい発見がある。しっかりした小説を読むような味わいがある。何度でもみたい映画。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ [Blu-ray]
ちょっとボヤけ気味の画質というのはその通り。
DVDからの買い替え組みからすると不満かもしれません。
ただし新規購入の私としては、まあ満足の出来といった具合。
フィルム傷は綺麗に修復されている。
DVD版が高画質だったために大差無いように感じられるのでしょうか。
他作品と比べるのはあまり意味の無いことですが、
今作と同じくらい評判の悪いオーメンとは比べ物にならない高画質でした。