バッハ:マタイ受難曲 全曲
日本人(主メンバー)によるクラシック演奏の中で、身内びいきなしで世界に誇れる水準のものは、
そう多くはないと思う。
これはそんな稀有な演奏だと思う。
古楽器演奏だからといってやみくもに早く演奏する(ガーディナーとか)わけでもなく、
適度なテンポで、しかもテクストを重視し、宗教的峻厳さを失っていない。
特に福音書記者役テュルクの、歌うというより「語る」感じにズンズン引き込まれていく。
また国内盤は解説が丁寧で、初心者にも「マタイ」がどういう音楽なのかわかりやすい。
歌詞対訳もよくある、読みづらい文語体ではなく、口語体なのもポイントが高い。
ガーディナー盤より高めだが、それだけの価値はあると思う。
初心者の方には「マタイ」の演奏で一番お勧め。
リヒター盤は初心者には重過ぎると思う。
クラシックを聴きなれていて、古楽器はちょっと、という向きにはやはりリヒターがよいかもしれない。
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」
イギリスやオセアニアで売られている抜粋盤はテ・カナワさんの写真ジャケット…確かに、この全曲盤でも彼女の存在感は圧倒的…神々しさに目(耳(笑))が眩むようです。当然ながら英語版では一番のソプラノでしょう。
アンヌ・ゲファングは初めて聴きましたがビックリ!何ですか!この人、声の出し方、高い方を抜くとこ、低い方を柔らかく丸めるとこ…まんまジャネット・ベイカーではないですか(笑)凄いよ。最近では男性が歌う事も多いですが彼女は若さで(まだ二十代かな)力強い歌唱を聴かせる…一枚目の【15】は凄い健闘、素晴らしいですね。この曲は、やはり聖書のストーリーの流れからも女性が歌うべきです…主イエスを失う悲しみ、復活を願う母性の強さがテーマだからね。
キース・ルイスはタイプとしてはブロッホウ゛ィッツの様なテキストに対して誠実で大袈裟な表現の一切無いリリックテナー、歌詞の内容が聴き取り易く…ある意味、このルイスがショルティの宗教曲へのアプローチを象徴しているのかも知れない。
グエイン・ハウエルはたっぷりとした量感と、どっしりとした安定感、如何にもバスらしいバス…しかも、血管切れるんじゃないかという熱演(笑)「漢」ですね。
シカゴ響は素晴らしいが管が無いのは淋しいなと思ってたら…最終節のハーセズのトランペットに感激…誰かが「アンドレ以降で最も偉大なトランペッタ」と言ってた。納得の名演です。
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」
サザーランドのトゥーランドということで、どうかと思って聞いたが、意外にもベルカントものと違うドラマチックな歌い方が聴けたのは驚き。デビューの頃はスピント役を歌っていたということで、ちょっと納得。高音の安定性はさすが。ニルソンやカラスほどの迫力はないが、リッチャレッリのトゥーランドットよりもかなり良いとは思う。
やはりパヴァロッティのカラフ(ハイCもさすが)、カヴァリエのリュー(せつない)、ギャウロフのティムールとキャストの豪華さは特筆モノで素晴らしい。
人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた
どこかで見たよな「萌え」系表紙。
目次をめくれば、
見知らぬ惑星の言葉のような「クルマ用語」の羅列。
この本を私がうっかり手にとったのは、
魔が差した・・・もとい、「運命」としか言いようがありません。
そのうえ、泣いてしまいました・・・しかも3度。
この本を通して、私は3つの「初体験」をしました。
主人公の人生を追いながら
「クルマ好きの、ちょっとヤンキーな男の子」の気持を味わう。
性別も年齢も、関心のありようも、まるで異なる主人公に、
自分でもびっくりするほど感情移入してしまいました。
そして、主人公の成長ストーリーを通して、
仕事に対する姿勢や取り組み方を学ぶ。
置かれた立場も環境も、私とはまるで違うのに、
その学びは、本書のタイトル通りに普遍性のあるものでした。
・・・さらにまた、ペーパードライバーの私にとって
まったく興味のなかったクルマ用語まで
すんなりアタマに入ってしまったのです。
スリップストリーム、ホイールバランス、スナップオン、、、
そんな言葉に思わず萌えちゃう人も、
拒否反応を起こしちゃう人も、
本書を読み終える頃には、同じ気持ちを共有できるはず。
感動と学びと、疑似職業体験と。
いろんなものが詰まった、珠玉の一冊です。