ミステリー民俗学者 八雲樹 DVD-BOX
私は実は今回の「八雲樹」で光博さんを知りました。
もともとコミックの方を読んでいて、それがドラマ化されるというので
全く“先入観”というか“基礎知識”なしで“光博八雲”に対面しました。
結果・・・最高に面白かったです。
その勢いで今回のDVDを購入しましたが、感想としては「買って良かった」です。
何よりも音質がいい。映像が綺麗。
まあ、個人的な好みが左右するものですが、同じように感じてくれる人は決して少なくないと思います。
どうかお試し下さい。
八雲立つ [DVD]
コミックで全19巻の、1巻目がDVDとして収録されています。刀の研磨を生業としていた祖父の形見の太刀を奉納しようと、大学生の七地健生が、演劇の取材として先輩に同行して出雲を訪れるところから話は始まります。代々巫覡(シャーマン)を司るという、旧家の跡取りである布椎闇己との出会い。七地が宗主譲りの秘密の祭祀を目撃してしまったことから起こる、古事記の太古にさかのぼる出来事は、物語の始まりにしか過ぎません。
私は、このDVDを先に見て、原作全巻購入する羽目になりましたが、どちらが先でもそれぞれの良さがあり、これ一巻だけでも十分楽しめます。
キャラクターデザインも、ほぼ原作通り。闇己がやや甘い顔立ちに思えますが、シャープな瞳は原作のイメージを損ないません。健生のほんわかとした雰囲気も良く出ています。原作のコミックと違って、ギャグタッチの崩れた顔は出てきませんが、その分全編綺麗に仕上がっています。闇己が七地との対面で七地を睨む場面、霊を浄化するところや「気」を憑かせ巫覡として顔が変化していく場面は、アニメならではの綺麗で迫力ある映像に仕上がっていてお気に入りです。
七地が童顔で、闇己と同じ高校生に見えるという原作の設定があるからかもしれませんが、時々話し方があまりにも舌足らずで少々気になります。でも、優しく、ちょっととぼけた感じの声はぴったり。闇己役は関智一さんの声は、原作を読んだ後だとイメージよりソフトに感じますが、素顔はまだ16歳の高校生という設定に合っているかな。
ポーランドまで行って録音し、国立ワルシャワフィルがホール演奏したというBGMが臨場感溢れていて盛り立ててくれます。エンディングが、音楽とクレジットだけというのは寂しすぎ。イラストでもいいから、ちゃんと画像を入れて欲しいところです。
八雲立つ 第3巻 (白泉社文庫 い 1-20)
いつも仏頂面でめったに表情を表さない闇己が、七地のために無意識に蒿に真剣で切りかかる、自分の中の狂気に気付いた時の心の揺れがひどく儚く見えます。闇己が七地だけには特別の感情を表すのに気付く蒿にも、闇己の違った面を見た驚きと惑いが闇己に対して反発だけではない、思いが出てくるのが読んでいて心地よい。
神剣を探すため七地に協力(半ば強制)を迫る闇己が、心の中で呟くボヤキが少年らしい表情とともにちょっと可愛い。
闇己や蒿の想いとは裏腹にほんわりしている七地だけど、闇己や蒿に怒鳴ったりして、決して他の人の言うことは素直に聞かない二人が、あっさり従っちゃうのが七地ファンとしては快感です。
後半は三本目の神剣建御雷にまつわるお話。生気と体力を使い果たして窮地に追い込まれた闇己を七地が救うけれど、自分の持つ力に鈍感で、闇己の足手まといになってばかりいると思い込んでいる七地を見る、闇己の優しい視線が魅力的。
扉絵の七地が珍しくシリアスな表情で、いかしています。