巨龍に挑む―中国の流通を変えたイトーヨーカ堂のサムライたち-
巨龍に挑む、タイトルのままの話です。
中国に日本でお馴染みのイトーヨーカドーが参入し、
いくつもの苦労を経て、成功するというストーリーです。
初めは文章がやや固く、説明調子なため感情移入がし難い印象があります。
また、登場人物が多く売上・利益などの数字がよく出てくるので
イメージするのが大変でした。
しかし、それでも、非常に面白かったです。
イトーヨーカドーの社員のモチベーションが非常に高く、
「売上を作る」だけではない情熱を感じました。
前半に全く売れない、何をやっても赤字だったという
生々しい描写が後半活かされていました。
特に、あまりにも売れないから、たった一つ買われたお客様に対して
責任者が思わず「ありがとうございます」と頭を下げに行く場面が印象的です。
また、後半売上を作れるようになった後にイトーヨーカドーが中国社会に積極的に貢献する様子や
中国人がイトーヨーカドーを擁護する様子は思わず涙ぐんでしまいました。
本書は非常に優れたビジネス書です。
具体的な行為や思想を示すわけではないですが、ただただ
一生懸命頑張って、頑張って、頑張った先人の背中を見せて頂きました。
失敗や反省を赤裸々に描写して頂くことで、そこから何を活かしていったのか、
学べたように思います。
お気に入りのエピソードは以下の3つです。
1.反日デモがあっても、擁護する中国人
2.「いらっしゃいませ」という文化がない中国人に対する教育風景
3.四川震災のときの対応とその後
いつか、中国に行ったときに舞台となったイトーヨーカドーに行きたいと思います。
Tender grain
電子音が奏でる美しく優雅な一時を与えてくれました。
アルバム冒頭から光の粒子さながらに煌めくサウンドが、波状攻撃とばかりに清涼感満載に降り注いで、フワフワと気持ち良くなれる、全体的に中毒性を秘めた作品でした。
朝は清々しく、昼は和み、夕暮れには切なく、夜には星が降り注ぐような、その時間帯毎に様々な情景を捉える色彩豊かな楽曲の数々です。
トゲウオの自然史―多様性の謎とその保全
各研究者によるミトコンドリアDNAのオンパレードで、研究のトレンドを知ることができる。保全研究の章では、保全分野での研究が遅れていることを理由に、具体的なビジョンも提示しないまま、結びとしているのは、タイトルとかけ離れていてすごい。
イトーヨーカ堂 顧客満足の設計図―仮説・検証にもとづく売り場づくり
流通・サービス業界は製造業に比べ経営の科学化が遅れているとの定説を覆した良書である。実務を知らない外部からの類書は多いが、直接携わった人間の著作であり迫力が異なる。
絶え間ない業務改革、販売管理や単品管理などイトーヨーカドーか流通激戦を勝ち抜いてきたプロセスとその強さのエッセンスが凝縮されレポートされている。前著の「成長の源流」と合わせ業界のリーダーたる姿が報告されている。そして中国事業の展開は日本の新興国への日本の新しい市場の開拓の旗手として日本国民に与える恵は計り知れないものを感じる。企業秘密にギリギリ接する真に迫ったレポートは素晴らしい。
加えて日本のもの作りの科学的分析の大家である東京大学の藤本教授のコメントに注目したい。曰く「トヨタと基本的原理は同じである。」発展途上国の成長が凄まじく空洞化する流れの日本経済にとり日本の強さを再認識させてくれた本である。これらの日本的強さを武器に、また円高を武器に他国にマネをできない日本的なもの、たとえば文化、環境、食品農業などソフトパワーを駆使し世界に市場を作れる、雇用の場を作れるなど今後の日本も捨てたものではないと言う気にさせてくれる。
ただこれだけのレベルをもつ日本的な非製造業の先端企業が、もの作りの先端企業のトヨタと比較した場合の収益規模の大きさの違いは、国民の人間力を最大限に生かしてバランスの取れた日本経済を永続的に発展させるべきであると言う視点からは産業のあり方、企業の評価に歪みを考えさせる。イトーヨーカドーは桁違いの収益額を誇っていいではないか。もっと流通業・サービス業の力を日本経済の将来設計に活かしたいものである。
日本企業の持つ強さの真実を教えてくれる良書である。