アザー・ソングス
傑作デビュー作に続いてまたしてもやってくれました。
なんかこの人の曲って秋から冬にかけての肌寒くなる季節に良く合うんだよね~。
LAの小さいライブハウスで彼のライブ見ました。たった15ドルで。
そこでThinking Out Loud聴いたときは鳥肌立ちっぱなし。
言葉にならないくらい感動しました。
この人に出会えてよかった。
RON SEXSMITH
まるい、穏やかで優しい歌声。曲はどれも3分程度で、コードも構成も単純。だから、一聴すると非常に地味です。でも、繰り返し聴くほどによくなります。
デビュー当時すでに結婚し10歳の子供がいて郵便配達をして生計をたてていた、と聞いて納得しましたが、彼の書く歌詞はどれもごくふつうの家庭人の視線から書かれています。だから、自分の世界と重なり合い、非常に親近感が沸きます。
個人的に好きなのは、ノスタルジックに子供時代とその頃の知人を歌った"Galbraith Street"と、自分の子供について歌った"Speaking With The Angel"です。
辛口のElvis Costelloが「この先20年聴けるアルバム」「友達たちのためにも買ってあげたら」とこのアルバムを絶賛し、自分のコンサートのオープニング・アクトにロンを選んだのも納得!の大名盤です。
ピンク~シークレット・ハート
ダイアナ・パントンの歌声って、耳元で囁かれるようなくすぐったさを感じさせる、スィートでキュートな癒し系。
メロディ・ガードの声を明るくラブリィにした感じ? かな。ステージでマイク握って歌っているというより、某ジャズ雑誌やライナーに書かれていたように、そばに寄り添って歌ってくれているような雰囲気です。
この 3rdアルバムは、前作「ムーンライト・セレナーデ~月と星のうた」と同じく、彼女のそんなイメージにぴったり合った編曲とバンド演奏で聴かせてくれるジャジー・バラード集。バンドは、前作以上に豪華なのに、彼女に寄り添うように品良く奏でられていて、う〜ん、実に上手い。特にピアノがいい。凄いバンドがバックについたもんです。
最初に聴いたときは「似たようなのが続くなあ」っと思ったものの、なぜだかとても聴きやすい。何度聴いても飽きないのが不思議で、彼女の魅力にどんどん引き込まれていくのが面白く、聴き込むうちにアルバム・タイトルの “Pink” の意味も分かったような気がしました。
恋に落ちた女性が、好きな人の顔を見たり声を聞いたりしただけで、内に秘めた恋心が薄紅色に染まった顔になって表に出てしまう、そんな微妙で繊細で可憐なイメージに溢れたアルバムなんだ、と。まっ、女性に限ったことじゃないですが(笑)。
パントンと同じくカナダのジャズ・シンガー、ダイアナ・クラールは言わずもがな、若手のソフィー・ミルマンのパワフルでパンチの効いたハスキーな歌声も、エミリー・クレア・バーロウの明るくチャーミングな歌声も大好きな私ですが、今日から癒し系のダイアナ・パントンも私のお気に入りの仲間入りです。
追記
本作品が、カナダの2010年ハミルトン音楽賞(Hamilton Music Awards)の 3つの賞にノミネートされ、女性歌手部門とジャズ作品部門で最優秀賞を受賞(2010年11月)。これからの活躍が益々楽しみです。