お伽もよう綾にしき 5 (花とゆめCOMICS)
最終巻とは思っていなかったので、その点は意外だったが、さすが力量のある作家さん、なかなかいい終わり方をさせたと思う。「ととさま」と「新九郎様」の間で心が揺れ動く二人、天狗になってもいじけ虫がなおならい現八郎、おじゃるさまは元の姿で大活躍、すべてのキャラの魅力が最大限に発揮されていて、納得、満足。悩みながらも末永く幸せに、賑やかに暮らしていくであろう彼らを思うと、自然と笑みが浮かんでしまう。
CDドラマDUO 彼方から Vol.5
前作に引き続き始まる今作。ノリコが攫われ、イザ-クはとうとうみんなの前で天上鬼へと変貌してしまう。捕らわれたノリコはそんなイザ-クの様子を見て、暴走を止めようと駆け寄る。そして二人の気持ちは・・・。
イザ-クはノリコの為に、ノリコはイザ-クの為に見返りなど求めずに何かしてあげたいと思う気持ちがとてもあたたかいです。同時に運命はあくまでも予定であって、未定なのだと前向きに考え始める二人の姿は見習うべきものがあります。運命をそのまま受け入れてしまえば、それは自分が自分である意味がなくなってしまうのだと深く考えさせられました。
二人が二人でいる意味、それはそれぞれがそれぞれであること。ノリコはイザ-クの側にいると決め、またイザ-クも・・・。お互いがお互いでなければ、側にいる必要がなくなってしまう、逆に言えば互いがそれだけ必要な存在だということ、こんな関係は理想ですね。現代は、自分が自分であろうというよりも先に、周囲を気にしすぎているような気がします。自分の出来る事をすればいいのだと気付けなくなっています、そんな時この作品を聞いてみてください。
CDドラマDUO 彼方から Vol.4
今作は、一番恋愛色の強い巻だと思います。ノリコとイザ-クの互いの気持ちと、今自分が置かれている状況との葛藤がそれぞれよく雰囲気が出ています。両方の言い分に納得がいくし、互いが本当に相手のことを考慮していることにとてもせつなくなります。「好き」ということがどういうことなのか、考えさせられました。
内容は、ノリコの告白の場面から始まり、ノリコが攫われイザ-クが危機的状況になる場面までですので、告白の行方を知るためにも次巻も絶対買いですね。
お伽もよう綾にしきふたたび 1 (花とゆめCOMICS)
「絶対に性交渉しないカップル」の黄金律でもって二十年以上回ってきたひかわきょうこ惑星に、ついに、ついに、ついに、夫婦カップルが誕生してしまいました。前作のヒーローとヒロインがケッコンしています。漫画界に激震が走り白泉社に悲鳴が轟いたことでしょう。小学生の頃からひかわ漫画を断続的に読んできた者ですが、いやあ、これで私の青春も終わったなあというか(とうに終わってるよ)、感慨深いわー。
しかしそこは慎み深いひかわ惑星のカップルですから読者の見ているところでイチャイチャもせず、手ぇ繋いだだけで赤面したりと相変わらず私を喜ばしてくれました。間違っても「アンタらホント夫婦??」とか突っ込まないように。「なんつー淡泊な二十歳の夫」とか思ってるアナタは我が身を恥じなさい。「小学生の女の子に手渡しても心配にならないひかわ漫画」が健在であるというのは喜ばしいことです。
という訳で、確実な画力に支えられた「健気で可愛らしいヒロイン&真っ直ぐで男前のヒーロー」による嫌味ゼロの善男善女ワールドと再会出来たのですから何も文句はありません。本物の葛藤や対立のない、とことん甘くてご都合主義の世界だというのは分かります。しかしまあリアルで辛い話がお好きな人はそういうのをお読みになればいいんです。ファンタジー漫画としてユルユルなのもそうだとは思いますが、本格的なファンタジー的想像力を味わいたいという方は向こうの売り場の『ベルセルク』でもどうぞ。この漫画はコレで万事オッケーなのですよ。ワタシは本書を読んで一時でもニコニコ出来たことを作者さんに感謝します。ではでは、次巻を楽しみに。
春を待つころ (白泉社文庫―千津美と藤臣君のシリーズ)
昭和54年から56年にかけての作品です。どれも私が生まれる前に描かれていますが、少しも古さを感じさせません。(ガリ刷りや多少の言葉は別ですが)
千津美ちゃんのドジにはもう、何も言うことはないのですが(笑)その清らかさに心を打たれます。頑張りやさんで、常に前を向いていようとする強さ。千津美ちゃんはそれを当たり前のようにしていますが、そうできる事ではありません。だからこそ、藤臣君は彼女を愛しているのだと思います。千津美ちゃんはすごい!!
(『彼方から』のノリコも似た所がありますが、彼女の場合、ドジというよりも、焦ると早口で喋り続けてしまう(笑)可愛らしい所や精神的な強さは共通しています。こちらもおすすめです。)