警官の血〈上〉 (新潮文庫)
これはミステリーというより警察小説です。
謎は弱いですね。すぐわかりました。
でも、警察官三代の物語としては重厚で、
読み応えがあったと思います。
若干、最後の和也のお話があっさりとしすぎていて
物足りなさも感じましたが、
全体として満足なデキでした。
仮借なき明日 (集英社文庫)
ハードボイルド小説というと、アウトローというか反社会的勢力に属するような主人公が、すさまじい暴力を繰り広げるような話が多いという印象を持っていましたが、本書の主人公はメーカー勤務のサラリーマンです。
主人公原田は、経済的に会社に依存しなくて良い境遇にあり、会社の奴隷ではなく自己の原理原則に従って行動するけれども、会社という組織の一員としてやるべき仕事はきちんと遂行しようとするという基本スタンスがあり、本書において様々な暴力・苦難に遭遇しつつも、その基本スタンスを守っていきます。
そして困難な会社の任務を遂行していく中で、その任務遂行を妨害しようとする反社会的勢力等に対し、知恵を使い、場合によっては実力行使で対抗していくわけですが、知恵や実力行使そのものというよりは自己の原理原則を守っていくストイックさにこそ爽快感を感じました。
ハードボイルド小説でありながら濡れ場がないという点も新鮮で、主人公のストイックさを裏付けているようで好印象でした。
ネタバレにならぬようこれ以上の詳細は控えますが、痛快・爽快な一冊です。
警官の血〈下〉 (新潮文庫)
自分自身の人生が思い通りにいかない。ましてや、子供の人生が父親の思う通りになんていかない。息子をもつ親として日々思っていることです。そして、この作品でもその通り。思う通りにいかない事ばかり。
しかし、親子3代、警官の血は見事に引き継がれている。うらやましいと思いながら読みました。
また、警官業務も思う通りにいかない中、皆がそれぞれの立場で最善をつくしていく、という姿にも好感を持ちました。
長い長い3人の異なる人生を克明に追いながら、全てがつながり無駄の無い構成だとも思いました。時代の流れによる状況の違いも考慮に入れながら、計算されつくされている、と感じました。
真相も、伏線の巧みさから素直に受け入れられました。
なお、下巻3章の和也と由香のエピソードは”エロい”と思い、ドキドキしながら読みました。そこもこの作品を気に入った一因です。
イナズマイレブン 01 [DVD]
DSゲームがテレビアニメとなったもの。ゲームの方は未プレイ。
中学校のサッカー部を舞台にした熱血少年ものだが、
この系のアニメのお手本のようなデキ。
主人公は真っ直ぐな性格で努力家、友達想い。
ただし、属するサッカー部はとにかく弱小で、
対戦する強敵を毎回苦労しながら突破していくという内容。
昔のキャプテン翼よろしく、各自が必殺技のようなものを持っていて
ことあるごとにその技を連発。
画面には必殺技名が大きく表示され、キャラクターが叫ぶ。
現実的ではないが、これが妙にカッコよく、見ていて気持ちいい。
キャラクターはそれぞれ個性的で、普通ではない格好だったりするが、
特徴付けという意味では見事。子供なら違和感なく受け入れるはず。
話もあまりダラダラと引っ張ることをせず、テンポよく進んでいく。
挫折や苦痛はあるにせよ、基本的に登場人物たちが前向きで
必死の努力や熱意で苦難を乗り越えていき、
それによって成功を手に入れるので観ていて非常に後味が良い。
大人が観ていても熱くなるような演出や表現が多く、
子供なら間違いなく熱中するだろう。
音楽が大きくてセリフが聞き取りにくいことがあったが、
基本的に大人にも子供にもオススメ。面白い。