黒い看護婦
本書は福岡県久留米市で起きた連続保険金殺人事件を題材としたノンフィクション。事件に関わる4人の看護婦それぞれの生い立ちと経歴、事件の背後、そして犯罪の構造を鋭く描いています。新聞やニュースで知り得た内容以上に、事件の背後に何があったのかは興味深かったですし、人間の悪の根源をうまく掘り出していたノンフィクションでした。
黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人 (新潮文庫)
この事件が社会に及ぼした影響は大きい。人々はどこにでもいそうな中年女性4人組の残虐で冷徹な行為に驚いた。主犯の吉田純子
は人の弱みを見つける天才である。どうすれば人を懐柔できるか、誰を篭絡するか、またいつ洗脳するか。様々な状況に応じて使い方
を見事に変えている。
時には先生の存在をちらつかせ、時には手紙で事の重大さを見せつけ、時には周りの人間から攻略して…ふと思った。なんで他の3
人は話の裏をとろうとはしなかったのか疑問に思った。ただ本の中でも述べられたいるように本当は薄々気付いていたのかもしれない。
ではなぜそうしなかったのか。それは支配されていたほうが楽だったからだ。この本を読んでいて僕はそう思った。